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7.【辺境伯に連絡しました】

「ビクトリアさん、アイリーンさんとリタさんのほかに男性のメンバーが二人いるのですが呼んできてもよいですか」


「はい。おねがいします。あと私のことはさんを付けずに呼んでいただけると嬉しいです。ビクトリアもしくはビッキーって呼んでください。アイリーンさんもリタさんもお願いします」


「そうですかじゃあビッキーと呼ばせていただきますね。私のことは様を付けずにヨシトと呼んでくださいね」


「それは、頑張りますけど慣れるまではヨシトさんと呼ばせてください」


「お二人がそう呼ばれるなら私たちのこともアイリーン、リタと敬称なしで呼んでくださいね。じゃあビッキー、男性メンバー二人を呼んできますね」


 二人の紹介が済んだのでみんなで今のホームの機能を見ることにした。


 ホームの所有者:ヨシト、副所有者:ビクトリア

 ホームレベル:3

 スキル:治癒5、回復2、

 スペース再構築:ダイニングキッチン・リビング・寝室・図書室、食品倉庫、作業倉庫、道具倉庫、車庫、馬房、応接間、客間

 資源取得:レベル2

 特殊機能:出入り先選択2、アカシックレコード検索2、学習支援

 メンバー:ホームズ、ゴーン、アイリーン、リタ


 今回のレベルアップで変わった機能について詳細を確認していく。

 副所有者:所有者が制限しない限り所有者の権限をすべて履行できる。

 所有者が死亡した場合所有者になる。

 スペース再構築で変わったもの

 ベッドルーム:所有者・副所有者・メンバー全員の個室があり、夫婦の個室の間には夫婦用の寝室がある。

 図書室:書籍とアカシックレコード閲覧用のディスプレイが複数そろえられている。

 作業倉庫:従来の倉庫に加工用の道具をそろえて作業しやすくしたスペース。

 食品倉庫:時間停止・冷蔵・冷凍・熟成・燻製・のエリアに分かれているスペース。

 道具倉庫:広いだけのスペース。

 資源取得レベル2:所有者と副所有者の知識にあるものの多くを取り寄せることができる。


 私個人にはチート能力はないが家のチートがすごすぎる。


「確認も終わったので、これからのことを相談したい。先ず領都を目指してビッキーの無事を両親に伝えたいのだが良いだろうか」


 全員の賛同を得たのでゴーンと私が街道を進む。

 領都の近くで馬車に乗り換えてビッキーを除く全員で衛兵の確認を受けて領都に入った。

 領都ではホームズとリタが商業ギルドにいき店舗付き一軒家を借りてきた。

 アイリーンは教会にいき、黙って出てきた教会への連絡を依頼した。ゴーンと私は冒険者ギルドで移動中に採取・狩猟したものを売却した。


 ウィッカンに知られずにビッキーの両親に会うために、まずビッキーの侍女をしていたマリーに手紙を渡して店舗に来てもらった。

 リタとマリーは面識があったのでマリーは疑いながらも2階にある商談室に入っていった。

 マリーはビッキーを見ると駆け寄り涙を流した。


「お嬢様、よくぞご無事で。王都より転送されて王宮からは無断で出奔したと追及され、生死もわからなかったので皆で心配していたのです。さあ早くお城に帰りましょう」


「マリー、心配かけてごめんなさいね。理由があって今一緒には行けないの。お父様お母さまにはお手紙を書いたのでこれを届けて。

 くれぐれもほかの人のいないところで直接手渡してね。

 あとここはリタさんのお店で私はここに住んでいるわけではないけどこのお店でリタさんに連絡をくれれば私に伝わるのでその時はお願いね。」


「わかりました、すぐに領主様にお手紙を届けます。もういなくならないでくださいね」

 リタは城に戻ると領主に面会を求めた


「領主さま奥様、大変な時にお人払いまでしていただいてありがとうございます。このお手紙をほかの人がいないところでお渡しするようにと指示されたものですから」

 怪訝な顔で受け取った手紙の封を開ける。

 封を開け、数行読み出すと領主の手が震えだした。

 読み終えた手紙を妻に手渡す。


「それで、マリーはビクトリアに会ったのだな。ビクトリアは大丈夫なのか何か変わったところはなかったか」


 怒りに震える体を押さえながら質問をする。


「はい、短時間でしたけどお会いしました。秘密を守ることが重要と言われ領主様にお手紙をお渡しすること、あとはご領主さまの指示に従うことを命じられました。ビクトリア様の様子は以前より落ち着いた雰囲気でしたが特におかしなところはありませんでした」


「そうかそれでは指示するまで自分の部屋で待機して誰とも会わないようにしてくれ」


 マリーが部屋から出て扉から離れることが確認できた


「あなた、ビッキーがよくぞ生きて、そのうえニンフォマニアックの呪いが解けるなんて」


「まて、まずはビクトリアに会って話を聞こう。

 手紙にリタという娘の店からビクトリアへの献上物があるのでそれを受け取って部屋に入れておいてほしいとのことだ。

 それが済んだら執務室に連絡するとのことだ。」


 マリーを呼んで早急にリタの店に行かせる。

 リタの店ではキャスター付きの大荷物が準備されていた。

 ホームズが城まで大荷物を運ぶ。城ではマリーが荷物をビクトリアの部屋に運び込んだ。


 内側から荷物の蓋が開く


「マリー、重かったでしょう。お父様とお母さまを呼んできてくださいね」

 マリーが執務室に向かって走り出す。すぐにビクトリアの部屋の扉が開かれた。


「ビクトリア、良かった、間違いないビクトリアだ」

「ビクトリア、生きていたのね、ニンフォマニアックの呪いが・・・」


「お父様、お母様ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。

 確かにニンフォマニアックの呪いをかけられましたが今は解呪されています。

 口で説明しても理解していただけないと思いますので場所を移して説明させていただきます。私についてきてくださいね」


「場所を移すってそっちに行っても・・・」


 ビクトリアがクローゼットの扉を開けるとホームの応接間につながっていた。


「お父様お母さま不思議でしょう。この不思議な力のおかげで私はこうしていられるのです。どうぞお入りください。」


「どうなっているのだ、城には結界が張ってあるから転移魔法は使えないはずだが」


「それも含めて説明させていただきますね」


 ビクトリアは細かい説明を始めた。

 ニンフォマニアックの呪いをかけられゴブリンダンジョンに転移させられたこと。

 ダンジョンでヨシトたちに会い、ここに運び込まれ助けられたこと。

 ヨシトと結ばれ幸せであること。


「ビクトリアが貴族でもない男の妻になるなんて、解呪されたなら貴族の男性との婚姻も可能なのよ」


「お母さま、ヨシト様は王族よりも素晴らしい方なのです。私はほかの方の妻になりたいとは思っておりません」


「ビクトリア、ヨシトというやつに洗脳されているのではないのかそもそも今でもここに出てこないではないか」


「お父様、お母様、すぐにヨシト様をご紹介しても冷静に話を聞いていただけないと思いまずこの部屋にお招きして私が説明しているのです」


「アイリーンさんお手数をおかけしますが飲み物を出してくださる。お父様、多分初めての味わいだと思いますよ」


 アイリーンが複雑なカットをしたグラスに炭酸飲料を注いで出してくれた。


「アイリーンって目が見えなくて教会で清拭魔法を使っていた人だったわよね。目が見えるようになったの」


「はい、ヨシト様に直していただきました」


「お父様、あちらの壁を見ていただけますか」


「ずいぶん大きな地図が書かれているな、これはうちの領地か」


「はい、今はうちの領地が出ていますがこうすると王国全土の地図になります。そしてこうすると各領地の詳細がわかります」


「こんな、こんな地図はあり得ない」


「そうですよね、こんな地図も、そんな飲み物も、アイリーンさんの目の治療も、城内からこの部屋に入れることも、私の解呪も全部あり得ないのです。

 でもそれをしてくださったのがヨシト様なのです。」


「こんなことができるのはまるで神のようではないか、ヨシトというのは神や魔物ではないのか」


「お父様、ずいぶんなおっしゃり様ですね。

 ヨシト様はいたって普通の人間です。体力や攻撃力や魔力などは私よりずいぶん低くて。

 多分お父様と模擬戦をすれば数秒で負けてしまうと思います。

 でもどんな時でも身を犠牲にして私を守ってくれますし生き残って私を幸せにしてくれるのです。

 今この家に住んでいるのはアイリーンさん夫妻、リタさん夫妻、ヨシト様と私の6名ですがそのうち4名はヨシト様の力で救っていただいているのです。

 とてもそうは見えないですけどね。

 ヨシト様お入りください」


「初めましてヨシトと言います。ビクトリアさんを救うには私の妻になってもらう以外の方法が無くて申し訳ありませんでした。

 私は生涯をかけてビクトリアさんに尽くしますがもしビクトリアさんが望むならご両親のもとにお返しして私は消えてもかまいません。私にはビクトリアさんの幸せが第一ですから」


「あらあら、情けないぐらいに普通の人ね、それなのにこんな能力を持っていて、ビクトリアも大変ね。私はこの人気に入ったわ、何よりビクトリアを第一に考えてくれているのがいいわ」


「ヨシトとやらお前はビクトリアと結婚してこの後どうしようというのだ」


「まず、最初に私は辺境伯さまに取り入って生きていこうとは考えておりません。今程度の暮らしならどこにいてもできるのです。あと、皆が私の能力だと思っている力はすでにビクトリアさんに渡しています。

 この力を使いこなせれば色々なことができます。贅沢な暮らしも可能でしょうし、それこそウィッカンを殺して他国でのんびり暮らすこともそこまで難しくないと思います。

 ただ、私はそうすることがビクトリアさんやこの国に住む人のしあわせにつながるとは思えないのです。私は自分の手が届く範囲のひとに幸せになってほしいのです。それをビクトリアさんと一緒に達成したいと考えています。」


「う~ん、覇気があるのかないのか、強いのか弱いのかよくわからないが悪い人間ではなさそうだな。

 ただビクトリアとの結婚を認めるには条件がある。私の力を利用してもよいからビクトリアが世間を歩けるようにしてくれ。影に隠れるようにして生活させるのは忍びない。

 必ずしも貴族のままでなくてもかまわない」


「承知しました。少し領主さまにはつらい思いをさせるかもしれませんが、その条件ならかなえて見せます。

 一番簡単な方法はビッキーを王様の前にお連れして失踪を理由にして婚約者の辞退を申し出ることですね。普通ならできることではないですから」


「それなら、そもそも王宮からビクトリアの生死の報告と、生きている場合は本人を連れてきてその状況を報告することを求められているので可能だ。

 だが、王宮ではビクトリアが呪いを掛けられていることを知っているだろうになぜそこまで求めてきたのか不明だ、ビクトリアを連れて行ってひどい仕打ちをされないだろうか」


「そのあたりも踏まえて対策を立てますので。じゃあビッキーはお父様とお母様をお送りしてください。私はここで失礼します」


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