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6.【ダンジョンで遭遇しました】

 今日は朝からゴブリンダンジョンに挑戦する。

 まずガラハドが一人でダンジョンに入り第一階層からホームに戻れるか実験する。

 問題なく戻れることが確認できたので全員でダンジョンに突入した。


 決めた通りガラハドが前衛でゴブリンの足止めをする。私と女性二人は武器コレクションにあった槍型スタンガンで遠間からゴブリンを感電させる。

 マシューが行動不能に陥ったゴブリンのとどめをさしていく。

 リタもアイリーンも槍型スタンガンの取り回しがうまくガラハドが逃した敵も無理なく感電させていた。

 順調に第5階層まで進んだ。


「よし、あそこに見えるセーフティールームに入って家に戻るぞ。」


 家に戻って昼食をとっているとリタが話始めた


「ヨシトさんから、兄さんの意見を領主が聞き入れるように兄さんの地位を高めることまずやりたい、とお話がありましたが、領主様じゃなくてビクトリア様に話せば地位を高めるまで待つのは不要じゃないかしら」


「そうか、教会に時々来ていたビクトリア様か、ビクトリア様なら我々も面識があるしな」


「ビクトリア様ってだれ」


「ビクトリア様は辺境伯様の長女で、至高の女騎士と呼ばれてる方なの。

 怖そうな呼び名だけど心優しい方でトヌムの町に来るといつも教会によられて慰問の傍ら私たちに町の情勢をお尋ねになるの。

 以前孤児の話をしたらすぐに孤児院ができたのには驚いたわ」


「至高の女騎士か、俺も聞いたことがあるぞ、剣の腕は王国騎士団のトップクラスで攻撃魔法にも才能が有って師団長も任せられる才能だっていう噂だよな」


「その才能を認められて、この度王命で第2王子ルキウス様の婚約者になられたのよ。第2王子の評判がいまいちだから妻には最高の人材を求めたって噂よ」


「ふーん、素晴らしい人でも結婚は国のためか、なかなか厳しいな」


 ―・-・-・-・-・-・-・―・-・-・-・-・-・-・―・-・-


「王妃様、お加減はいかがですか」


「あら、王妃様だなんて昔みたいにエリーって呼んでよシャル。それからビクトリアちゃんもよく来てくれたわね」


「エリザベス様、学生のころとは違いますし、私も辺境伯の妻ですのでせめてエリザベス様と呼ばせてください。それと今、夫にエリザベス様の体調が戻る薬を探させていますので、見つかり次第お届けさせていただきますね」


「やっぱりシャーロットは大事なお友達よね、いつも私のことを気にかけてくれて。それからビクトリアちゃんもご免なさいね、本当は私の息子の妃になってほしかったのだけどウイッカンの息子の婚約者に指名されてしまって。」


「エリザベス様、ウイッカン様は母国のテルティアでは禁呪と蟲毒の第一人者だったという噂を伺いましたが本当ですか」


「どうでしょう、わがウクイタニアに第2王妃として迎えるときはそのような噂はなかったのよ。

 もしかすると国を挙げて隠ぺいしてウクイタニアに送り込んだ可能性もあるわ。

 そんな人の子供のルキウスの婚約者にしてしまうなんて本当に申し訳けないわね」


「王妃様これ以上はお体にお障りが」


「そうね、シャーロットまた来て頂戴ね、あなたならいつでも歓迎よ」


 ビクトリアはこの後ルキウス主催のお茶会に呼ばれている。


「ビッキー、大変だと思うけどエリザベス様のためになる情報があったら何でもいいから教えてね。それじゃあ気を付けてお茶会に行ってね」


「はい、お母様お母さまもお気をつけて」


 王妃宮と側妃宮をつなぐ渡り廊下で立ち話をしているときに甲高い声が聞こえた


「ビクトリア~、貴方さえいなければ私がルキウス様の妻になれたのに、あなたみたいな女はルキウス様の妻になる資格をなくしてやる」


 女が魔道具をシャーロットとビクトリアに向かって投げつける。

 母を守るために魔道具を懐剣で砕くと紫の煙がビクトリアを包み込んだ。

 ビクトリアの美しい金色の髪が赤く染まり、ライトブルーの瞳が濁った灰色に変わった。


「これは」


「そうよ、あなたみたいな女にはニンフォマニアックの呪いがお似合いよ。

 王子様の子ではなくゴブリンの子供でも生んでなさい」


 そう言うと今度は転移魔法を組み込んだ魔道具でビクトリアをどこかへ送ってしまった。


 ―・-・-・-・-・-・-・―・-・-・-・-・-・-・―・-・-

 ヨシトたちは昼食を終えセイフティールームで装備の最終確認をしていた。

 突然セイフティールームの扉があき女剣士が飛び込んできた。


「女の冒険者がいたのか、良かった、私を殺してくれ、ニンフォマニアックの呪いをかけられた」


 そういうなり何かに耐えるようにうずくまった。


「あれもしかしてビクトリア様」

「ああそうだな、ビクトリア様に間違いなさそうだな。よりによってニンフォマニアックの呪いか」


「ビクトリアさま、アイリーンですわかりますか」


「アイリーン?目が治ったのかよかったな。もう精いっぱいなんだ、早く殺してほしい」


「ビクトリア様一つだけ、今死ぬのと呪いをかけた人に報復するのとどちらが良いですか」


「報復と言っても、そのために数多くの男性の慰み者にされるのは耐えられない。殺してくれ」


「いえ、男性はここにいるヨシトさんだけです。私たちを信じて任せてみませんか」


「もう正常な判断はできないんだ、アイリーンに任せる一番いい方法をとってくれ」


「ヨシトさん、一緒に来てください リタさんも手伝って ホームに戻りますよ」


「ヨシトさん、リタさん、ビクトリア様をヨシトさんの部屋に。ヨシトさんはビクトリア様を運んだらリビングで待っていてください。リタさんはビクトリア様の服を脱がせて毛布を掛けておいてください」



「ヨシトさん勝手をしてすみません、ビクトリア様をどうしても助けたいのです。

 お気づきかもしれませんがニンフォマニアックの呪いとは男性と交わらないと狂ってしまうという呪いなのです。

 それなのに呪いのせいで自殺もできなければ男性に抵抗することもできないのです。

 さらにひどいのは短期間に大量の精を受けないとやはり狂ってしまうのです。

 一人の男性ではどんなにその女性を愛していても50人分くらいの精を2日ほどで注ぎ込むなんてできっこないですから。

 ですからこの呪いを受けた女性は娼婦に落とされるか、ゴブリンの巣に放り込まれるか、狂うか、殺されるしかないのです。

 でもヨシトさんならいったんホームから出て戻ればステータスが全回復するので体力的には可能だと思うのです。

 ビクトリア様は素晴らしい人なのですヨシトさんの優しい心でビクトリア様を救ってください」


「・・・・・」


「本当に時間がないのですヨシトさんお願いします」


 リタと入れ違いに私は部屋に押し込まれた。


「ビクトリアさん、私はヨシトといいます誠に申し訳ないが治療だと思ってがまんしてくれ」


「そんなこともうどうでもいいの、早く私に、お願い、もう抑えきれない」


 部屋に充満するビクトリアの甘い香りに私も理性を失った。

 あとで聞いた話だがニンフォマニアックの呪いは同衾する男性の機能を高め理性を低める効果もあるとのことだった。


 それから二日間、二人はお互いを貪りあった。

 私は体力回復のため何度もホームから出入りをしたがビクトリアさんは部屋から一歩も出なかった。


 私が最初に外に出たときにアイリーンさんがユニットバスの使い方をビクトリアさんに教えてくれていた。

 あとは私が外に出るたびにアイリーンさんが部屋に清拭魔法をかけリタさんが軽食や飲み物を差し入れてくれていた。どうやらそのたびにビクトリアさんの気持ちに寄り添うようにしていたようだった。

 貪りあった二日間であったが一日目が終わったあたりからビクトリアさんの様子が変わっていった、髪の毛は赤の中に何筋か金色が混じりだし、濁っていた瞳も濁りが薄くなりつつあった。


 そして二日目の朝に、ビクトリアの人格や、精神構造、能力や考え方がヨシトの頭の中に流れこんできた。


(こんな素晴らしい人に何てひどい呪いを。何としても助けたい)

 ヨシトはビクトリアの人格に魅せられていた。


 二日目の昼過ぎだった

 スピーカーがドラムロールをならし、「ニンフォマニアックの呪いが解除されました。治癒のレベルが5になります」と奏でた。


 ベッドの中でビクトリアさんを見ると恥ずかし気に私のほうを見つめてきた。

 我慢できずに軽く口づけをしてから私は部屋を出てアイリーンさんとリタさんにビクトリアさんの世話を頼んだ。


 リビングで治癒5の内容を確認する。

 ・所有者およびメンバーがホームに戻ると怪我が直ちに治癒する。

 ・所有者およびメンバーがホームに戻ると体に影響を及ぼす量の毒が除去される。

 ・所有者およびメンバーがホームに戻ると体に影響を及ぼす呪いが解呪される。

 ・所有者が指定したゲストの怪我の治癒と解毒と解呪ができる。

 この家はどこまでも私たちのために尽くしてくれるようだ。


 リタさんがリビングにきてマシューとガラハドに自分の部屋で待機しているようによう依頼した。

 入れ替わりにアイリーンさんとビクトリアさんが入ってきた。

 ビクトリアさんの髪は輝く金色に瞳はライトブルーに戻っていた。


 私にはアイリーンさんの服を着たビクトリアさんが女神にみえた。

 私だけニンフォマニアックの呪いが解けていないのかもしれない。


 呆然とビクトリアさんを見つめる私の前に二人が腰かける。私の隣にはリタさんが座っている。

 何か話さなくてはと思うのだが私はビクトリアさんに見惚れて声を出すことができない。


「ビクトリア様にはヨシトさんのことと、この家のことを説明しました。ビクトリア様、ヨシトさん、何か話したいことはありますか」


 私はビクトリアさんから目を離すことができず声を出すこともできない。


「ビクトリア様、ヨシトさんはあなたに見惚れちゃって声も出ないみたい、ビクトリア様からお話しいただけないでしょうか」


 リタさんの誘導でビクトリアさんが話しを始めた。


「ヨシト様、呪いを解いてくださってありがとうございました。ヨシト様には醜態をさらしてしまいましたがおかげ様でほかの男性に辱めを受けることなく呪いが解けました。

 私は辺境伯の娘で第2王子の婚約者でしたが、横恋慕する伯爵の娘に呪いをかけられてゴブリンダンジョンに転移させられたのです。

 ただ、ニンフォマニアックの呪いは禁呪でこの国にはつかえる人がいません。使えるとしたら第2王子の母親であるウイッカン様だけだと思います。

 これから私はウイッカン様に報復をして、そのあと自害します。

 彼女は私がどうやって解呪したか探るでしょうがヨシト様の情報は一切漏らさず報復と自害成し遂げます。

 ありがとうございました。

 それから、それから、お慕い申し上げておりますヨシト様」


 この時、家の照明が点滅した。


 スピーカーがドラムロールをならし、「ビクトリアが配偶者になりました。ホームのレベルが3になります」と奏でた。


「あらぁ、ビクトリア様残念ね、死ねないみたいよ。ヨシトさんがあなたに惚れちゃって。家もあなたを配偶者認定しちゃたから。

 この家の認定って嘘がつけないからビクトリア様もヨシトさんの配偶者になりたいと思っているのは明白ですから」

「ヨシトさん、ビクトリアさんに言うことあるでしょう」


「ビクトリアさん、私は異世界人でステータスも低くて、とても辺境伯のお嬢様の配偶者になる資格なんてないのですが、私のすべてをビクトリアさんに捧げますので結婚してください」


「ヨシト様、ありがとうございます。実は今朝、ヨシト様の考え方や能力が私の頭の中に流れ込んできたのです。

 こんな素晴らしい方と一緒に生きていきたいと思いました。

 でも、呪いをかけられてあさましい姿をさらした私がそんなことを望んではいけないと思い報復をした後に死のうと思ったのです。」


「ビクトリアさん、私の頭の中にもビクトリアさんの考え方や能力が流れ込んできました。

 それが私のからだ中に染み込み魂をつかんで離さないのです。

 呪いの影響による行動など何も気にしていません。改めて申し込みます私と結婚してください」

「はい、ありがとうございます。私をヨシト様の妻にしてください」


 この時、家の照明が点滅した。


 スピーカーがドラムロールをならし、「ビクトリアが魂の伴侶になりました。ビクトリアがホームの副所有者になります」と奏でた。


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