路地裏
途方もなく歩く。
あの後、私は逃げるように家を飛び出した。まだ雨は降り止まない。
冷えゆく自身の体を庇いながら今日をやり過ごす場所を探す。
…それなら路地へ逃げようか?
あの人の追っ手を巻くのにもいいだろうし、前、姉が彼処は法の管理が行き届いていないと言っていた。今の自分は殺人者であり大罪人である。もう表では堂々と生きられない自分にお似合いの場所だろう。そう思って路地へと入って、そこから数時間彷徨った。
ふと私は、路地の隅に打ち捨てられた空の大きなダストボックスを見つけた。
私はその中を自分の新たな家として日々を過ごすことに決めた。
それからは散々な生活を送った。…まぁ今までも散々だったが。
路地では人間の支配が行き届かないことで様々な厄介者が蔓延っていたことを学んだ。そして、それらがいくら子供相手だろうと手加減などしてくれないことも学んだ。
例えば、食べ物を探そうと相手の縄張りに入り、見つかると酷いものだった。確かあの時はその縄張りのボスかなんかが自分をひっ捕らえて、手下と一緒に鉄パイプか何かで自分をボコボコに殴りつけてくれた。
お陰で今でも体は血みどろで目も当てられない程になっている。
しかし。そんな私に、ある転機が訪れた。
ある日、いつもみたくお腹が空いて、生きるために必死で食べ物をゴミから漁っていたらたまたま路地の外へ出てしまった。そこで出会ったのだ。
「…ん?おや、なんだかすごいボロボロだね…親御さんはどうしたんだい?一緒に探してあげようか?」
私の養父となる男に。