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転生竜と賢者の石な少年  作者: ツワ木とろ
第1章
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【7】老紳士との出会い


 文字の勉強が一段落して、次は算数になった。

 数数えるとか数字書くとかは直ぐに覚えたけど、計算は苦手見たい。

 指の数異常の計算になると躓いてる。

 目の前に無い物を足し引きしろって、考えてみたら想像力が必要よね。

 馴染みないんだから難しいわ。

 まぁ、必要に迫られた時にアタシがフォローしてあげればいいでしょ。


「なんか、前、変じゃない?」


 手綱引くセドリックの隣にいつも座るヴィオラが何かに気づいた。


「ちょっと望遠鏡かして」 


 リネットが前を覗き込み、目視じゃ確認出来ないと分かると、ヴィオラから望遠鏡を受け取って屋根の上に飛び乗った。


「馬車が1台、倒れてるわ。回りで大人数争ってる‥‥ 強盗? 魔獣かも!」

「急ごう」


 リネットが戻ると馬車は速度を上げた。

 アタシも前に出てみる。1キロ先かな、砂ぼこりが見える。

 揺れる馬車内で、各々武器を手にする。


 200メートル辺りでまで近づくと状況が把握出来た。

 横倒しになってる馬車の上や回りに二足歩行の狼が10体。

 身なりのキレイな白髪のおじさまを囲んでる。


「コボルトよ!」

「助けるぞ!」

「ニコラ、馬車お願い」


 馬車を止め、セドリックが飛び出し、後をヴィオラが続く。


「ルーシは中で待っててね」


 リネットは上空から二人を追い、大きな弓に矢を構えた。

 馬と数人の男が倒れてる。遣られたてしまったんでしょう。

 ニコラは操縦席で立っている。

 その隣にいるアタシにルーシは寄って来て後ろから抱きついてる。


 セドリック達に気が付いたコボルトなるモノが標的を彼らに変えた。

 おじさまの方に3体残っているので、7体が向かってくる。

 先頭の一体が牙剥き出しでセドリックに飛びかかる。

 それを剣を抜きがてら横切り。

 太くて重そうな剣がコボルトの体を両断した。

 その瞬間切られたヤツは黒い煙になって消えた。


「こいつらモンスターだぞ!」


 続き様に3体が同時に襲いかかる。

 抜ききった剣を戻す様に防御。

 左の1体の喉元に刺さり、そいつも煙になった。

 真ん中の1体は剣に、右は籠手に噛みついている。

 噛みついた瞬間にはヴィオラが2体の後ろに回り込んでいて、首を落とした。

 ヴィオラはオーソドックスな剣ね。


 そんな戦いをしてる脇を抜けて残りの3体がこっちに向かってくる。

 その中の1体が、空から放たれた矢に刺さり体勢を崩す。

 そこをいつの間にか追い付いたヴィオラが剣を振り下ろして一撃を与える。


 残りの2体は二足歩行をやめて四足で猛進してくる。

 倍くらい速度が上がってる。

 こちらはナイフを持ったニコラと丸腰のルーシのみ。

 飛び掛かって来たらファイヤー喰らわしてやるわ。


「プアトシャハリアライェティドルタクヒルイブラクラジャフラウ『氷柱』!」


 馬車まで10メートルに迫った時、地面から氷の円錐が2つ突き上がり、コボルトに突き刺さった。

 1体は黒煙になり、もう1体は腹にささり、空中でもがいてる。

 そこにリネットの矢が刺さり、そいつも黒煙になった。



 気が付けばセドリックとヴィオラがおじさまの側に到着してる。

 まだ居た3体もいつの間にか倒してたみたい。

 氷柱がシュッと消え、ニコラが馬車を進める。

 そこにリネットが降りてきた。


「怖かったかよねぇ」


 そう言いながらルーシの頭を撫でる。



「ポーションを頼む!」


 おじさまは緊張が解けたのか細めの剣を杖にして膝を着いている。

 リネットは一旦荷台に戻り、小瓶を取って飛び出していった。

 3人の側で着地すると小瓶の中身をおじさまに飲ませた。


「助太刀して頂いたばかりかポーションまで頂いて恐悦至極に御座います」


 おじさまは立ち上がり深々頭を下げた。

 執事の様な身なりで背広の背中がざっくり切れちゃってる。

 コボルトに遣られたのね。

 傷はポーションの効力で治ってるけど、あまりにも大きく広い切れ目だから相当深い傷だったんじゃないかしら。

 よくそれで1人で戦ってたわね。

 ルーシが目的はあるけど自信が無い風におじさまに近づいて行く。


「どうなさいましたか?お嬢さん」

「ルーシは男の子よ」

「これは失礼しました。ルーシ殿」


 髪は伸びっぱなしで長いし、ローブ着てて、可愛い顔してるからそりゃ間違えるわよね。

 ルーシは特に気にするでもなく背広を触った。

 すると破れたに黒い渦が現れ、消えると元通りに直ってる。


「おお、これは貴方のスキルですか?大事な服だったので、感謝致します」


 おじさまはまたお辞儀した。


「私、王都に帰る途中なのですが、何処かご一緒出来る町でお礼させてください」

「俺達も王都に向ってる所です」

「なんと偶然。それでしたら王都でお礼させてください頂いたい。申し遅れましたが、私ロジバールと申します」


 各々名乗ると、リネットが薄紫色の結晶を広い集めて来た。 

 コボルトが消えた時に残された結晶だ。


「18個あるわ」


 結晶が1体に付き1個なのだとしたら、ロジバールさん達は8体倒したのね。

 倒れてる男達も奮闘したんでしょう。噛み千切られた後がいくつもある。


「彼らは貴方の従者ですか?」


 人数は5人。みんな鎧を着てる。


「いいえ、私はそんな高位な者ではございません。とあるお方に仕えてる執事で御座います。主人の言い付けでアルハスに訪れる際に道に明るい彼らを雇ったので御座います」

「ギルドで?」

「左様で御座います」

「なら。今からギルマスに報告するからギルドプレート集めてくれない」

「直ぐに連絡出来るのですか?」


 ニコラがビー玉を見せる。


「魔信具をお持ちとは。。重要な任務の最中なのでは御座いませんか?」

「終わって帰る所だから大丈夫ですよ」


 なくなった5人の冒険者を1ヶ所に集めてプレートを外しニコラに渡す。


「ハイランクな冒険者だっただろうに‥‥」

「Bランクだと聞きました。初めてお会いする方々でしたが、とても気さくで素敵な方々で、とても楽しい旅を送って居たのに、この様な事になり、悔しくてなりません」


 ロジバールさんはうなだれている。


「モンスターが出たって事は、近くにダンジョンがあるって事よね。この辺りには元々なかったから、最近出現したって事よね。だったら警戒出来なくても仕方ないわ」


 ヴィオラが言う。


「それがコボルトの群れなんてレアケース、わたし達だったとしても苦戦したでしょうね」


 彼女なりの慰め方なんでしょう。


「報告済んだわ。亡くなった彼らに替わってロジバールさんを護衛してって。OKしたけど良いわよね?セドリック」

「ああ。もちろんだよ」

「それはありがたい。宜しくお願い致します」

「直ぐに調査隊が来るでしょう。馬車は目印になるからそのままにしといて欲しいって。ついでにメッセージも残しとけば今後通る人も注意するでしょう。ここに長いするのは得策じゃないから、彼らを埋葬して近くの村に向かいましょ」

「行きに立ち寄った村なら半日位で着くはずだよ」

「って事は圏内かも知れないわね‥‥」

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