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転生竜と賢者の石な少年  作者: ツワ木とろ
第2章
51/120

【50】大型巨人


 崩れた壁の中から巨人が現れた。


 サイクロプスの倍くらいの身長でガタイは4倍くらいある。


「ギガース?!」

「こんなトラップありなの?!」

「一旦入口まで退くぞ!」


 一斉に走り出す。

 ギガースの1歩は大きく、それだけで地面が揺れる。

 狭いけど、通路に出て一旦体制整えたい。


 ギガースは追って来るわけでもなく、台座を拾っている。

 何をしてるのか分からないけど、お陰で距離が開き、無事に通路に出られそう。


 そう思ったアタシが甘かった。


 ギガースは拾った台座を投る。

 それはアタシ達を軽く越えて、入口にぶつかり壁を崩して塞いでしまった。


 狙ってやったんならヤバイ相手だわ。


 リネットのスキル使えば片付けられるだろうけど、そんな余裕与えてくれないでしょう。


 ギガースが歩み寄る。


「やるしかなさそうね」 

「リネットとナナチャで上空から気を反らせてくれ。俺達は足元狙う」

「了解!」

「ニコラは壁際で待機。何かあったら指示くれ」

「分かったわ。状況が状況だから1層目の魔法は解除しちゃうわね」

「ああ。その方が良いな」


 アタシとリネットが飛び出す。

 ギガースからしたらハエと蛾くらいしか無いけど、小さい方が都合いいはず。

 顔の周りを飛び回って意識をアタシ達に向ける。

 その間にルーシ達が足首切れればこっちのものね。


 ギガースがうるさいとばかりに手を振り回してきた。

 当たりはしないけど凄い風圧。


「きゃ!」


 体の大きいリネットが風圧をもろに受けてバランスを崩してしまう。

 頭に何かぶつかったのか気を失ったみたい。


   助けなきゃ!


 落ちていくリネットに急降下で追い付いて襟首を咥える。

 重くて持ち上げられない。

 このままじゃ2人とも墜落してしまう。

 アタシは今まで出したこと無い力を翼に込めて羽ばたいた。

 すると物凄い突風が起こり、落下の勢いを殺して何とか着地に成功。


「リネット!」

「だ、大丈夫!ナナチャありがとう」


 意識を取り戻した見たい。良かった。


 アタシは再度飛び上がる。


 それにしても今の力はなんだったのかしら。

竜の力かな。あんくらい風圧出ないと竜なんて飛べなさそうだし。


 ルーシ達は左足元にたどり着いている。

 ただ、巨体を支えてるだけあって強固な様で、セドとルーシ斬りかかっても靴擦れ程度の傷しか追わせられてない。


「避けろ!」


 ギガースが脚を上げ踏み込む。

 直接は食らわなかったけど、衝撃で地面がひび割れ破片が飛ぶ。


「皆、大丈夫!?」

「ああ。かすり傷だ」


 良かった。

良かったけど、どうしたら良いかしら。


「ナナチャ、私達で目を狙おう!」


 リネットがまた飛んで来てくれた。

 サイクロプスと同じ対処法。

それが1番良さそうね。


 ギガースの目はちゃんと2つあり、図体のわりに小さい。

狙い辛い的だわ。

 アタシが囮でリネットが遠くから狙った方がいいかも。

彼女の腕なら間違いないし。


「リネット、ナナチャが囮になるから離れて狙ってって!」

「了解。ナナチャ宜しくね」

「ミュー!」


 顔の周りを飛びまくる。

鬱陶しいんでしょうね、アタシに向かって腕を振り回す。


 気流が凄いからそれに身を任せれば難なく避けられるけど、掌だと捕らえられてしまいそうで、なるべく手首より根元に寄ってからかわす様にしてる。


 足元では前衛チームが傷つけた部分に再度斬りかかる。

 ギガースは脚を振り上げ、踏みつける。

あしらい方が強くなってるのを見ると傷が深くなって行ってるんでしょう。


 リネットの矢は中々当たらない。

 アタシに向かって振る腕が邪魔をしてる見たい。

 射っても風圧であらぬ方向に行ってしまう。


「ナナチャ、顔より下を飛べる?」


 リネットに言われて胸元辺りを飛ぶ。

これで顔は狙い易いけど、下向いちゃってるからより的狭くなってないかしら。

 なるべく顔の向きを変えさせない方がいいわよね。

 アタシは胸の前に留まり、振る腕をかわして同じ位置へ。

 幼少期?トンボに同じ事されて悔しかったって記憶が甦る。

 ギガースもアタシを捉えたくてしかたなくなってるみたい。 


 両腕が同時に迫る。


 気流がごちゃごちゃして上手くすり抜けられない。

 このままじゃ両手に挟まれてしまう。


   これはヤバイ!


  グゥァ!


 潰されるのを覚悟した瞬間、ギガースがのけ反り、手で顔を覆う。

 リネットが遣ってくれた。


「やれてないわ!」


 リネットが叫ぶ。

 ギガースは右目をつぶっているが、矢が刺さったのは上マブタ。眼球までは届いてない。

 ってかあんだけ足首斬っても切れないのに、マブタに矢が刺さるの?


「リネット、顔と首辺り狙って乱射して。その辺柔らかいのかも」


 ニコラも同じ事思った様で指示を飛ばす。


「了解!」


 3本同時発射を4連発。

半数以上阻まれたけど5本は刺さった。


 耳、頬、顎下、喉元、首筋。ちょこんと刺さった程度だけど、この辺りは確実に皮膚が柔らかい。


「やっぱり、顔が弱点ね。リネット行ける?」


 傷付けられて興奮したギガースは地団駄を踏み、腕を振り回す。

 空中も足元も近付けない。


「ダメ、矢は弾かれちゃう」

「近付けないし、落ち着くまで待つしか無いのかしら」


 すぐに落ち着くかは分からない。

 地団駄の衝撃で天井から粉が落ちだしてる。

疲れるまで待ってたら崩れて来ちゃいそう。


「セド、僕を顔に向かって投げて」


 突如ルーシが言う。


「空中で身動き取れないから的になるぞ?着地する時も危険だ」

「大丈夫。目元に投げてくれたら何とか出来る!」


 ルーシが強く言う。


「‥‥わかった」


 ヴィオラが目を丸くしてセドを見る。

 無謀にしか思えないものね。

 その点、ルーシの実力を高く評価して信頼してるのはセドなのかもしれない。


「来い!」


 セドは中腰で手を組み、構える。

 そこにルーシが足を掛けてジャンプすると同時に腕を振り上げた。


 ルーシは勢い良く飛び出し即座に頂点に達した。

 顔の前。ただ、ディアボロスの全長の倍は離れてる。


 ルーシに向かって横からギガースの右掌が飛んでくる。

 その手にディアボロスを振り下ろす。

 手も硬くて刺さらなかったけど、刃先を支点に更に飛び、腕に乗った。

 そのまま肩口に向かって走る。


 肘まで迫ると今度は腕と掌で挟んで潰そうと左手が振り下ろされる。

 それを上手くかわし、今度は左手の甲に乗り移る。


 手首を越えるまで走ると顔の前。

 ルーシはそこでジャンプし、ディアボロスを振った。


  ギャー!


 ディアボロスの大刃が両目を斬る。


「『氷岩』!」


 のけ反った所で右足をニコラの氷魔法が覆い、バランスを崩し踏ん張ろうとする左足の傷口をセドが再度斬り込む。

 ギガースが耐えきれずに倒れ込む。

 地面が大きく揺れ、肘を着いた辺りが大きくひび割れる。

 見えない状態で肘付いたから左肘をいわしたみたい。

 右手を無造作に振り回してる中、ヴィオラが猛スピードで掻い潜り、首元を突き刺し、切り上げる。


 ギガースが煙る。


 地面には奴の姿の凹みが出来ていて、その中心に魔石が落ちてる。

 魔晶石を除けば今までで1番大きな魔石。


 

 ルーシはギガースの目を斬った後、落下してる所をリネットに抱き抱えられ無事着地していた。

 ハラハラしたけど、無事で良かった。


「あんまり無理させないでよ」


 リネットがセドに言う。

 でもまぁ、ルーシが言い出した事だし、そのお陰で倒せたわけだから結果オーライでしょ。


「とにかく戻りましょう」


 ニコラはさっきの1発でより疲労したみたい。

顔色が悪くなってる。

 リネットも1度気を失って、元気な訳じゃ無いから、アタシが先に行ってグフリア達に知らせて来ようかしら。


「ナナチャが先に行って知らせて来るって」

「その方が速いかもな」

「じゃぁ一応、一筆書いとくわね」


 リネットが瓦礫をどかしてくれるのを待ち、ニコラから紙を受け取りアタシは通路を走り出した。

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