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転生竜と賢者の石な少年  作者: ツワ木とろ
第1章
18/120

【17】精神でお話しました


10分間位たったかしら。

 メルヴィルさんは目を開き、ルーシの手を離した。


「‥‥難儀ね‥‥」


 ぼやきの様な呟きが聞こえた。


「どうでしたか?」


 リネットが聞く。


「残念ですが、彼の初めての記憶からサーリエと共に居ました。もしかしたらサーリエの子供なのかも知れないですね」


 何いってんのよこのババァ。サーリエの子供な分けないじゃない。

 でも、記憶を覗いても解釈を誤る事はあるのね。希望が見えたわ。


「実の息子を監禁していたって事ですか?」

「彼の記憶から推測しただけで違うかも知れませんが、監禁と言うよりはペットの様な扱いだった様です」


 いや、モルモットだったと思っておくれ。


「そうだったとしても酷いです」

「そうですね。 難しいかも知れませんが、ナナチャの記憶も覗いて見ましょうか」

   え、アタシ?

「ルーシ君、いいですか?」

「‥‥はい」

   え、マジ?

「従魔なら、そのむね伝える事は可能ですか?」

「大丈夫です」

   「ルーシ、ホントにアタシも遣るの?」

   「うん。お願い」

   「大丈夫かなぁ‥‥」

   「大丈夫。怖くないよ。メルヴィルさんいい人だった」

   「そっか‥‥ 分かったわ」


 しょうがないのでアタシも右前足を差し出した。


「賢い子の様ですね。」


 メルヴィルさんはそう言いながらアタシの前足を握った。





「ナナチャ、今から貴方の記憶を覗かせて頂きますね」


 薄い霧の中でメルヴィルさんと対峙している。そんな感覚。


「はい。どうぞ」

「あら。人の言葉が喋れるの?」

「‥‥口では喋れないけど‥‥ 念話なら」


 独り言のつもりで喋ったのが伝わってしまう。

 心の中だからかな。迂闊だったわ。


「驚きました。その様な動物は初めてです」

「自分から話し掛けておいて?」

「断っておかないと失礼ですからね」

「動物にも?」

「動物だから特にです。言葉が通じないから伝わってないかも知れませんが」


 確かにいい人なのかな。ただの真面目な人なのだとしたら融通きかなくて厄介かもしれないけど。


「それにしても、いつから喋れるのですか?従魔になってから?」

「物心付いた時からです」


 あ、つい素直に答えちゃった。


「‥‥もしかして、貴方は転生者なのかしら」

「え?!」


 これはビックリ! アタシを転生者だと見抜いたのもそうだけど、転生者ってワードを知ってる事にも驚いた。


「知り合いに転生者が居てね。記憶を覗かせて貰った事があるんですよ」

「‥‥そうだったんですね。驚きました。」


 アタシ以外にも居るのね。転生者。


「その人は今どちらに?」

「‥‥亡くなってしまったわ。」


 メルヴィルさんの悲しむ心が伝わる。親しい人だったみたい。


「それはそうと、会話が出来るのは助かるわ。ルーシ君の記憶は想像を絶していて、困惑していた所なのです」

「どこまで彼の記憶を覗いたんですか?」

「彼が思い出せない位古い最初の記憶から」


 あぁ、全て見てるのね。たぶん全部分かってるわね。分かってて、的外し気味に言ったんだわ、この人。


「貴方のサーリエとルーシ君に関わる記憶を覗かせて頂いてもいいですか?」

「ここに生まれてからこれまでずっと、ルーシと一緒なので大量だと思いますけど。」

「多くてもそれほど時間は掛かりませんよ」

「まぁ、どうぞ」

「ありがとう」


 心の中でも手を繋がれた。

 彼女が記憶を覗くとアタシまでその記憶を思い出しちゃうみたい。

 それも無理くりにだからちょっと気分が良くない。

 それは説明しといて欲しかったな。


「‥‥難儀だわ」


 さっきと同じぼやきね。


「2人の記憶はほぼ類似してますね‥‥ にわかには信じがたいわ」

「アタシ達、どうなっちゃうんですか?」

「貴殿方が講じた通り、黙って居ましょう」

「え、味方してくれるの?」

「もし、新ポーションの原料が彼の血なのであれば、こんな非人道的な事はありません。確固たる証拠も無しに検証するのもそうです。ただ、それを国や教会の全ての人が思うかどうかが怪しいですからね。」

「ありがとう」

「サーリエを探しだして書物を押収する必要があるわね。指名手配さえしてしまえば早いのだけど、私が覗いた記憶のみでは難しいわね」


 メルヴィルさんが腕を組んで首を傾げてる。

 なんだろう。心で会話だからなのか、声色が粗い気がする。


「黙ってるからって貴方達を放置するのも危険だし、かと言って保護するのも不自然だし。困ったねぇ」


 だいぶ思案してくれてるのが分かる。ホントいい人だったのね。


「まぁ、とりあえず戻りましょうか」

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