クリスマスと正月と
クリスマスと正月は、七海は勉強をお休みすることにした。
秋口の暴行事件に決着がついて、芥川圭以外のいじめの関係者から、謝罪を受け、今後関わらないことを約束させた。
この事件に携わってくれた溝口弁護士に、先輩は、顧問弁護士をお願いした。先生は二つ返事で了承してくれた。
クリスマス間近になって、とりあえずイブとクリスマスと正月三が日だけは、受験勉強お休みの日に決めた。
元々七海は、頭が良いので、合格圏内に常にいた。
といっても彼氏がいるわけではないので、家族や、会社の仲間たちとのパーティーになる。
イブは、会社の家族会のクリスマスパーティーに参加した。
俺は、サンタの格好で、子供たちにお菓子を配る。
ろうそくのキャンドルサービス。子供たちの目が輝いている。
七海は、お姉さんとして、小学生、中学生の子供たちの面倒を見ていた。
子供たちは、会社のイベントで七海と会っていたので、なついている。
七海も、今日はリラックス出来たようだった。
正月、俺は先輩の招きで、先輩の家にいた。昼過ぎに七海に、初詣に誘われた。近所の天神さまにお詣りに出掛けた。
晴れ着を着た七海が可愛くて、思わずスマホで写真を撮らせて貰った。
去年は、頑張りが認められて、俺は主任に抜擢された。
先輩の家に送ってから、家に戻ると、俺の家に、俺の友人が訪ねて来ていた。
隣にそいつの彼女がいて、そいつが、俺と冴子の共通の友人で、最初は冴子の嘘を信じてたけど、友人から、波野ギン氏の撮った音声データのコピーを聞かせたら、謝ってきたので、絶縁は解除した経緯があった。
「どうしたんだよ」
俺が声をかけると、友人が、
「お前、どこに」と言うから、
「先輩の家に行ってたんだよ。家の会社の社長の家だよ。」
「清野先輩の家か。」
「ああ。ところでどうしたんだよ。」
「あのな。冴子が後悔してるとか、言い始めてるらしいんだよ。」
「そうなの。英知から、DV受けてるって。」
「でもそれを選んだのはあいつだし、なんで、友人のお前らがとりなししてるの?おかしいよね。」
「うん。でも、手首切ったって。」
「俺は、家も、財産も、嫁も、仕事も、全部失ったんだよ。英知と冴子のせいでな!ざまあとしか思わないよ。」
「ひどい!」
「ひどいのはどっちだよ。英知と元から繋がっていて、俺を嵌めて、英知にさっさと乗り換えた馬鹿女じゃねえの?こっちは、マジで死にそうだったんだよ。」
「まあ、ここじゃなんだから」
近所の手前もあり、俺は話を聞くために、友人カップルを家に上げた。