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星四キャラクターカード

 ダンジョンの入り口に設置された《ガチャ》に魔石を一つ入れる。

 すぐにキャラクターカードが出てくると思いきや、《ガチャ》装置下部にある取り出し口から、なかなかキャラクターカードは出てこない。

 《ガチャ》が壊れたのか、と心配していると、《ガチャ》の上部から光が射した。

 ふと、見上げると《ガチャ》が眩いほど輝いていた。

 毎回、こんなに《ガチャ》の演出が激しいのか、と呆れていると、周囲の冒険者がざわついていることに気づいた。

 それを見て、もしかして高レア度のキャラクターカードが出てくるのかもしれない、と思った。

 そして、《ガチャ》から出てきたキャラクターカードは、高レアだと一瞬で分かるくらい豪華な装飾が施されたカードであった。

 面倒事に発展しそうだったので、そのカードを手に取ってすぐダンジョンを後にしようとしたが、次々と冒険者達に話しかけられる。

 それを無視して進めたが、前に立ちはだかる冒険者も現れ、足を止めざるを得なくなった。

「邪魔だから、退いてくれ」

「ちょっとくらい、いいじゃないか。それ、星四の準最高レアだよね? 見せてくれないかな?」

 厚かましい冒険者の若い男に不快感を覚える。

 その男の横を通り抜けようとすると、またも道を防がれる。

「断る。さっさと退け」

 鬱陶しい奴のせいで、自然と機嫌が悪くなってしまう。

「ねぇ、その態度は何? 僕は三十階層にも到達したことがある高ランク冒険者、クレインだよ? 君みたいな雑魚、僕の足下にも及ばない存在なのさ!」

 クレインは意味不明なことを言い出した。

 自分の思い通りにならないことが気に入らないようだ。

(これだから、人間は……)

 理性的な人間もいるが、どうしようもない馬鹿で迷惑な人間もいる。

 それは前の世界にも出現する怪物モンスターと言えるだろう。

「俺には関係ない。いいから退け」

「そのカードは君には勿体ない! 僕が貰ってやろう!」

 見せるだけだったはずなのに、さっきと言っていることが違うクレインの要求を聞き流す。

 関わること自体が無駄なので、前の道を遮られても横から通り過ぎるが、クレインはどこまでも追ってくる。

「おい! 無視するな!」

 クレインの小さな堪忍袋の緒が切れ、掴みかかってきた。

 それを躱そうとするが、レベル差のせいで上手くいかなかった。

 こういう輩に対抗するためにも、なるべくレベルを上げるべきだな、と内心思いつつ、クレインに言う。

「汚い手を離せ。つきまとうのもいい加減にしろ」

「お前っ!」

 自分が全て正しいと考えているから、人の話をほとんど聞かないし、激高しやすい。

 そんな視野が狭い短気な人物だ、とクレインを評価しながら、殴りかかってきたクレインに《精神感応テレパシー》のスキルを使う。

 すると、クレインは後ろにいた冒険者に怒り始めた。

 《精神感応テレパシー》のスキルで、後ろの冒険者がクレインの陰口を叩いたとクレインに錯覚させたからだ。

「今、僕のことをキレインと呼んだのは誰だ!? 僕の名前はクレインだ!」

――すぐにキレるからキレイン。

 後を追ってきた冒険者達は、その渾名を聞いて思わず爆笑してしまった。

 どうやら冒険者達にも、そのクレインの性格に心当たりが多かったようだ。

 そして、クレインに冒険者達が気を取られているうちに、この場を離れることができた。

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