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星一キャラの想い

「今日こそ最高レアの星五キャラを当ててやる!」

 冒険者の男はダンジョンの入り口に存在する《ガチャ》と呼ばれる装置に魔石を十個入れる。

 すると、《ガチャ》が光り始める。

「来い! 来い! 来い!!」

 男は必死に祈った。

 《ガチャ》に使用する魔石は、ダンジョンのモンスターを倒すと手に入る(ドロップする)が、その確率は低い。

 その貴重な魔石を得るため、男は一ヶ月ダンジョンでモンスターを狩り、ようやく魔石を十個集め終わって《ガチャ》に挑戦していた。

 《ガチャ》は魔石を一個入れるごとに一枚のキャラクターカードを得られるので、《ガチャ》から十枚のキャラクターカードが出てくることになる。

 キャラクターカードを使うと、そのキャラクターを召喚できるため、冒険者はキャラクターを連れてモンスターを倒し、落とした(ドロップ)アイテムを売って稼いでいた。

 だから、男は高ランクの強いキャラクターカードを手に入れて、ダンジョンで荒稼ぎしたいと考えていた。

 キャラクターはレア度が最も低い星一からレア度が最も高い星五の順に強くなるが、《ガチャ》で排出される確率は低くなるので、その願いが叶う望みは薄い。

 《ガチャ》の輝きが一段階増す。

 これで星二のキャラクターカードが一枚は出てくることが確定した。

「……まだだ。まだ止まらないでくれ!」

 あと一回ガチャの輝きが増せば、星三のキャラクターカードが確定する。

 男は星二のキャラクターカードしか所持してなかったので、どうしても星三以上のキャラクターカードが欲しかった。

 しかし、《ガチャ》が纏っていた光が消え、キャラクターカードが十枚出てきてしまう。

「くそっ! 星二はまだマシだが、役立たずの星一キャラは九枚もいらん!」

 男は一ヶ月間の苦労を思い出しながら憤る。

 ダンジョン前のキャラクターカードを扱うカード屋で、男はすぐに星一のキャラクターカードを全て売り、去って行った。


――役立たず、なんて言わないで。……頑張るから。




「また星一キャラか……。こんなに売れ残っているというのに……」

 カード屋の店員は星一キャラを買い取る度に愚痴っていた。

 星一キャラが売れない原因は多い。

 《ガチャ》で一番高い確率で排出させるため、《ガチャ》をやれば星一キャラは毎回のように出てくる。

 それに加えて、何度か《ガチャ》をすれば、星一キャラより強い星二キャラが出る。

 だが、星一キャラにも一応需要はある。

 召喚したキャラクターがモンスターの攻撃などを受けて死ぬと、死亡した場所でキャラクターカードに戻るため、そこまで行って拾う必要があるのだが、モンスターに襲われてキャラクターカードを拾えなければ、そのキャラクターカードを失う可能性がある。

 だから、他の希少なキャラがモンスターの攻撃を受けそうになったときの盾代わりや、モンスターの注意を引きつけるための囮に星一のキャラクターが使われ、死んでキャラクターカードに戻っても回収しないでダンジョンにそのまま放置していく者もいる。

 そんな役割で使われていたが、星一のキャラクターカードは《ガチャ》でよく出るので、わざわざカード屋で購入されることは滅多になかった。

「どうせ星一は売れないだろう。箱詰めして倉庫にまとめておいてくれ」

 カード屋の店長に言われ、店員は星一のキャラクターカードを大量に箱に流し込み、倉庫の奥に収納した。

 このように星一のキャラクターカードが雑な扱いを受けることは珍しくないことだった。

 結局、買い手がいなかったので、徐々にその箱のことを覚えている者が減っていく。


――忘れないで。……ここにいるから。




 役立たず、雑魚、ゴミ、と蔑まれる星一のキャラクターカード達は、希望を捨てなかった。 

 きっと自分達を必要とし、その存在を認め、強く育ててくれる者が現れると信じていたから。


――まだかな。


――もうすぐかな。


 しかし、希望が絶望に変わるほど長い時が過ぎても、……現れてくれない。


――いないのかな。


――このまま来ないのかな。


 そして、そんな者はこの世界に存在しないのだ、と悟った。

 失意に沈む中、ある考えが浮かんだ。


――別の世界から召喚しよう! この世界に存在しないなら。


 ようやく星一キャラクター達の願いは成就する。

 交通事故で死亡した一人の男をこの世界に連れてきたことによって。

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