表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/30

第8話 呪術師


「こんなとんでもないモンスター、初めて見たな。私は餌として連れてこられたのか?」


 ミヤビたちの後ろに、黒いワンピース姿の美女がいた。青い髪に真っ白な肌。瞳は切れ長、気の強そうな顔をしている。


「呪術師か」


「お前は誰だ。このモンスターは? これほどのモンスターを手なずけているなら、相当な使い手だろうな」


「俺の呪いを解いてほしい」


「この盗賊たちはなんだ。なんで目の前で仲間が殺されても、平然としている。おまえ、呪いをかけたな」


「違う。話を聞いてくれ」


「こんな凶悪なモンスターのまえでは、言うことを聞かざるを得ないな」


 奴隷化してやろうかと思ったが、思いとどまった。魔法反射があるかも、という恐れもあった。


 ミヤビが「主様。こちらの商品も持ってきました」と鑑定グラスを渡してくれた。一見普通のレンズの丸い眼鏡だ。


 かけて、呪術師を見る。


名前:ナーセ

HP    :100/100

攻撃力  :10

守備力  :100

魔法攻撃力:110

魔法防御力:110

スキル  :魔法反射Lv1 解呪Lv6 呪いLv4



 あぶねええええええ。

 こいつ魔法反射もってるじゃねえか。危なかった。

 奴隷化を使ったら、はね返されたはずだ。


 奴隷化はめちゃくちゃ強いスキルだ。

 だが魔法反射にだけは気を付けないと。

 つかさ、この世界に俺を連れてくるならさ、ちゃんとそのあたり説明しておけよ!


 俺はナーセに事情を説明した。


「はあ? スライムの奴隷になった? 気は確かか」


「本当だ!」


 デビル・スライムと名前を変えたバカスライムは、また盗賊を触手で絞殺し、その体に覆いかぶさっている。


「ミヤビたちはどうだ? 平然としているだろう」


「確かにな。異常だ。薬物でも使ったか、呪いをかけたかだ」


「俺の奴隷化ってスキルのせいだ」


「そんなとんでもないスキルがあるとは信じられん」


「じゃあこの鑑定グラスで見てくれ」


 俺はナーセに鑑定グラスを渡した。


「本当だ。スキルに奴隷化Lv2とある。こんなスキルが存在していたとは。じゃあ私も、奴隷にできるのか」


「いや、ナーセは魔法反射を持っているだろう。だから無理だ」


 待て待て、奴隷化がLv2になっていたのか。

 畜生。あのスライムに会う前に、もっと他のモンスターを奴隷化していたら、反射率がもっと低かったかもしれないのに。


「奴隷化という魔法スキルをはね返されて、奴隷になった、か」


 ナーセはミヤビを鑑定グラスを通して見る。


「本当だ。状態:ヌカタの奴隷となっているな」


「何とか出来るか」


 ナーセは鑑定グラスを俺に返し、自分のカバンから赤い鑑定グラスを出して再び俺たちを見る。


「なるほど。そういうことか。おいおい、あのスライム、デビル・スライムではないか。一匹で町を滅ぼすようなモンスターだぞ。管理できているのか?」


「わからないから、早く解放されたいんだよ」


「正直、私はまだ若い。いま二十二歳、呪術師になって六年だ。町では最も優れていると言われているが、経験は少ない」


「ほかの呪術師なら?」


「さあな。状態異常の欄に、奴隷という文字は、奴隷であっても表示されない。状態異常ではないからだ。混乱や毒、眠り、そして呪いだけだ」


「呪いの種類じゃないのか」


「聞いたことがないな」


 畜生。振り出しじゃないか。

 あのスライム、バクバク人間食べてる、このままじゃやばいよ。

 しかも一匹で街を滅ぼすモンスターだって? 町に行こうぜってあいつから言い出すかもしれない。


 そうなったら、俺も一緒に町を滅ぼさないといけないじゃん。ああ、なんてことだ。


「ヌカタ。私は、奴隷という状態異常は知らないし、治し方もわからない。でも、状態異常の欄を、確実に真っ白にする方法を知っている」


「本当に?」


「私の家は、先祖代々呪術師だ。様々な術が伝わっている。その術の一つで可能かもしれない」


「頼む! 俺のスキルはわかっただろう? ステータスも。モンスターを退治するとか、いろんな方法で、合法的に稼げる。後払いになるが、な? 頼む」


「条件がある。こちらの願いを一つ、聞いてもらいたい」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ