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第7話 進化


 結局、赤髪の美女・ミヤビには手を出せなかった。

 抱き寄せるとミヤビは「主様」なんてかわいい声を出す。いけるぞ、と思う。

 だがスライムが、俺の上に乗っかってきたり、死体のイメージを送ってきたりする。


 嫉妬だよな? これそうだよな?


 なんだよ。この奴隷は俺のものだ、みたいなのがあるわけ? マジ面倒だなやつな。


 本物の女だったら、ウザがられて、速攻で捨てられてるわ。


 翌朝、俺はミヤビたちと、森を出たかったが、スライムはそれが嫌なようだった。

 だがこのままでいいわけがない。


「ミヤビ、呪いなどに詳しい人を呼んできてくれないか」


「呪いってなると、呪術師ですね。いいですよ」


「ありがとう。呪術師は絶対だ。できれば医者も呼んできてくれるとありがたい。あとは、そうだな、鑑定グラスってアイテムも、手に入ったら持ってきてくれ」


「フフ、私たちは盗賊ですよ? お安い御用です」


 ミヤビは五人の配下を連れて出ていった。

 よし、この奴隷状態が呪いかどうかはわからない。

 呪術師が来たらすぐ解放される、なんて甘いことは思ってないさ。

 だが、何かしらの進展はあるだろう。


 スライムが触手のようなものを作り、俺の膝をつんつんとたたく。

 水浴びがしたいのだろう。

 しょうがないので洞窟を出て、アカの背中に乗り川のそばに行く。


 スライムを川に入れ、ざぶざぶ洗ってやる。まったく、ふざけた野郎だ。この奴隷状態が解けたら、アカに踏みつけてもらうからな。


 洞窟に戻り、奴隷にした盗賊たちに話を聞こうと思ったら、スライムがイメージを送ってきた。

 人間を食べたいらしい。


 おいおい、マジかよ。勘弁してくれよ。

 どれだけ食べるんだよ、デブるぞ。


 痛い痛い! わかったよ。

 俺は盗賊の一人を呼ぶ。元気よく返事をしてくるが、ナー・ザルの風の刃で首を落とした。

 悪いな、主には逆らえない。


 スライムはすぐ覆いかぶさり、食べ始めた。


 アカやナー・ザルたちと遊びながら、ミヤビを気長に待つか、と思った。

 だが穏やかな日々にはならなかった。


 何と翌日にも、あのバカスライムが、死体のイメージを送ってきた。

 勘弁してくれよ。

 盗賊の一人を殺し、スライムにささげた。


 そのあとスライムを川で水浴びさせた。

 スライムのくせに、マッサージしてほしいらしいので、水の中で、体をもんでやった。


 腹が立つぜ、本当に。


 そのうえ夕方、おやつみたいな感覚で、また人の死体のイメージを送ってきた。


 おいおい、待ってくれよ。

 人の味をマジで覚えてるよ。どうする?

 このスライム、やばいって。


 痛い、痛い。わかったよ。

 盗賊の一人を殺して、食べさせた。


 疲れたな、寝ようと思ったときだった。

 なんと、スライムが死体のイメージを送ってきた。信じられん!


 つーわけで、十人いた盗賊が、いなくなった。

 ミヤビたちも戻ってきたら、食われるかもしれない。

 とんでもない状況だが、人を食べたいなら、町に出たいはずだ。そう考えれば、まあ悪い状況じゃない。


 と思っていた。

 ミヤビがいなくなって、四日たった。


 俺はスライムを見て、仰天した。



名前:デビル・スライム

HP    :1400/1400

攻撃力  :900

守備力  :750

魔法攻撃力:50

魔法防御力:750

スキル  :魔法反射Lv1 進化Lv2

状態   :ヌカタの主



 ちょっと待って?

 攻撃力なんだって? 900?

 はあ?


 おいおい、どういうことだよ。

 人間を大量に食べて、進化したってこと?


 ちょっと待ってよ。これやばい?

 スライムの信頼を得ようと思って、媚びうったよ。そうしたら増長しちゃった感じ?


 おいおい、HPが1400ってすごすぎだよ。


 しかもスキルの進化ってなんだ?

 こんなスキルなかったよな。


 スライムは、青色だったが、紺色になっている。大きさは、最初出会ったころほどに戻っていた。


 このスライム、人間を食べれば食べるほど、強くなるの?

 いや、進化ってスキルのせいか? 最初はなかった。


 どういうことだ。何が起こってる。

 とにかく、まずい状況なのは間違いない。


「主様、ただいま戻りました」


「よく戻ってくれた! ミヤビ、会いたかったぞ!」


「主様。私も主様に会いたかったです」


「呪術師は?」


「連れてきましたが」


 そのときだった。

 スライムは、ミヤビの後ろにいた男の盗賊に、触手を伸ばし、首を絞め殺した。


 え?

 すぐ覆いかぶさり、食べ始める。


 おいおいおいおいおい! 化け物じゃん! とんでもないじゃん!


 俺もそのうち殺されるんじゃないか?

 さっさと奴隷から解放されないと!


「ミヤビ、すまない」


「いえ、主様のご主人さまですもの。しかたありません」


 この奴隷化ってスキル、本当にすごいな。

 仲間が殺されても、平然としてるのかよ。


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