第2話 新たな配下
どうなることかと思ったが、生きてはいけそうだ。
どんなモンスターが出てこようが、この「奴隷化」で配下にできるわけだろう?
たぶん、人間もいけるよね?
奴隷って本来人間だよな。
じゃあ適当な人たちを奴隷にして、そいつらの稼ぎを、ちょっとでいい、一割程度もらってさ、ぬくぬくと生きていくことも可能じゃないかな。
お、またモンスターだ。
「イノ! 行け!」
戦闘のイメージを、イノに送る意識をする。
現れたモンスターは、真っ赤な狼のような動物だ。
だが象ほどの大きさがある。
イノは走りだし、その真っ赤な馬鹿でかい狼とにらみ合う。
イノが渾身のパンチを打ち込む。
だがびくともしない。
蚊が止まったか、くらいの顔をしている。
巨大な赤狼は、凄まじいスピードでイノにタックルした。イノは吹き飛ばされた。
名前:ソッコー・ゴブリン
HP :0/30
攻撃力 :10
守備力 :10
魔法攻撃力:10
魔法防御力:10
スキル :なし
状態 :ヌカタの奴隷
あ、イノのHPが0になった。
イノがフワーと霧になって、消えた。
ああっ、やっベー、イノが死んだよ!
ごめん、イノ。
成仏しろよ。南無阿弥陀仏。
相手のレベルのほうが高かったんだな。
仲間にしないとさ、ステータスがわからないからしょうがないんだよ。
あの赤い狼を、配下にするしかない。
あいつを従える。あいつを従える。
配下にする!
「奴隷化!」
赤い狼の下に、巨大な紫色の星が出現し、まぶしくかがやく。
名前:クレナイ・ヌーバ
HP :500
攻撃力 :100
守備力 :350
魔法攻撃力:10
魔法防御力:10
スキル :疲労回復
状態 :ヌカタの奴隷
おおっ、さっきのイノより、強いじゃないか。よろしくな。
「おまえの名前は、今日からアカだ。真っ赤だからな」
アカは象ほどの大きさがある。上に乗って移動できないか。
そのイメージをアカに伝えると、アカは地面に座った。
アカにまたがってから、進むイメージを伝える。
「おお、なかなかいい眺めじゃないか」
ちょっと不安なこともある。
このアカを奴隷化できた。だがどんなモンスターも奴隷化できるのか? まだ二回しか試してないが、失敗ってこともありうるよな?
アカは俺が歩くより、少し速いくらいのペースで進んでいる。走らせようかな、と思ったとき、木々の間から「キー!」と鳴き声が聞こえた。
数匹、深緑色のサルに似た生き物がいる。
どうせだから、こいつらも仲間にしてやるか。
「奴隷化!」
木の太い枝で、歯をむき出し威嚇していたサルの下に、紫色の星が出現。
名前:ナー・ザル
HP :50/50
攻撃力 :10
守備力 :10
魔法攻撃力:80
魔法防御力:80
スキル :風魔法Lv3
状態 :ヌカタの奴隷
おおっ、魔法が使えるモンスターじゃないか。
深緑色のナー・ザルは、「キー!」と甲高い声で鳴きながら、俺の肩に乗っかったり、ひざの上に座ったりした。
かわいいサルじゃないか。
ひざに乗ったナー・ザルの頭をなでると、嬉しそうに声を上げる。
かわいいやつだ。
だが考えないといけないな。こういう動物が仲間になると嬉しいが、えさ代はただじゃないだろう。
いや、待てよ?
知能の高いモンスターなら、えさ遣りくらいできるんじゃないか?
人間を奴隷化できるなら、そいつに任せてもいいな。
とにかくまずは、ナー・ザルの風魔法だな。
「おい、ナー・ザル三兄弟、風魔法を見せてくれ」
俺は風でものが吹き飛ぶイメージを送る。
ひざに乗ったナーザルが「キー!」と鳴いて、風の刃を放ち、太い木の枝をスパッと切断した。
「うおぉぉ、すごいな。突然この攻撃を食らっていたら、と思うと」
ナーザルの魔法攻撃力は80とかなり高い。
俺の魔法防御は120。どれくらい削られただろうか。
「おっ、またモンスターじゃないか」
俺はアカの上で、地面をゆっくり移動するスライムを見つけた。
「雑魚モンスターの代表だな」
だが俺は知らなかった。
そのスライムが変異種で、魔法を跳ね返す能力を持っていることを。




