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SCP財団職員の学校生活 改訂版  作者: 餅屋五平
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第9話―講習・3

「さて!現実改変の話も終わったし、次は何のSCPになるでしょ~か!」

「まあ多分、現実改変系のSCPなんでしょうね。危険な奴は止めてくださいよ。」

「……。げ、現実改変じゃ無い事だけは伝えておくよ。さ、さて!今回のSCPは収容ロッカーに行かないと出来ないからね。まあ、そこで講習をしようか。」

今の間が多少気になったが、ここでは出来ないと言うのは一体どういう意味だろうか?とりあえず、俺は勝手にスタスタ歩いていく棚空先輩に従うしかなかった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――そのSCPとやらは、ここから近いサイト8181にあるらしい。なので俺の車で向かい、そのままサイトに着いた。そしてそのSCPがある部屋までまた歩きで向かった…のだが。

「た、棚空先輩…まだですか…?もう30分ぐらい歩いてると思うんですけど…。」

「え、もうバテてるの!? まだ30分だよ! 学校も徒歩で通ってるんでしょ!?」

「ずっとデスクワークだったんですよ…外回りもほぼ無かったですし…。学校は10分ぐらいで着きますし……」

「ええ、誰かに襲われた時どうすんの。……お、見えてきたよ。あの部屋の中に入ったらSCPの講習タイムだよ!」

そして見えてきた部屋は…なんだこれ、『低セキュリティ保管室』…?

「棚空先輩、これは…?」

「まあまあ、とりあえずこの部屋の中に入ってみなよ!」

「は、はい…」

言われるがまま、その部屋の中に入ったら…! 10個以上はありそうなコインロッカーがあっただけだった。そして、東…な、何て読むんだ?みたいなのが書かれている。

「じゃじゃ~ん!SCP-024-JP、『カラオケBOXES』~!これは、要注意団体『東弊とうへい重工』が作ったオブジェクトなんだ!」

「あ、トウヘイって読むんですか。ていうかこれ、カラオケボックスなんですか? 明らかにロッカーっぽいですけど」

「まあ見た目はね。とりあえず近づいて触ってみてももいいよ」

そう言われたので、とりあえず触ってみる。よく見ると、そこにはディスプレイと液晶とキーボードがあり、『東弊カラオケにようこそ』と書いてある。そして『現在の空き部屋』が表示されているので、中々信じがたいが、本当にカラオケボックスらしい。しかし、こんなロッカーのどこから入るんだ? その疑問を口にする前に棚空先輩が説明を始めたので、とりあえずそれを聞くことにした。

「改めて。これはSCP-024-JP、『カラオケBOXES』。見れば分かると思うけど、高

 さ180cm×幅300cm×奥行き80cm、重量300kgの凄い重いロッカー達なんだよ。液晶

 を見れば分かると思うけど、『東弊とうへい』って書いてあるでしょ?この『東弊』は要注意団体の一つ『東弊重工』のことなんだけど、これはまたの機会にね」

「前回も、何でしたっけ…『日本生類生研にっぽんしょうるいそうけん』が作ってましたよね? 一体そいつらは何者なんですか?」

「まあまあ、またしかるべき時に…」

またしてもはぐらかされてしまったが、前回も気になっていた『要注意団体』とは何なのだろうか? 個人的にも職員的にも凄い気になるのだが、今は説明を聞くしかない。

「そして、これは文字通りカラオケボックスなんだけど部屋を『生成』するんだ。」

「ほう。生成、ですか」

「そう。ここの液晶に、これを利用する誰かがどれかのキーを押すと、液晶に利用人数とか利用時間を入力する画面が出てくるんだ。 そして、利用する部屋をキーボードで入力する画面が出てくるんだけど、その内容によって『生成』されるカラオケルームの仕様が変化するんだよ。それで、何で『生成』って言ったのかって言うと、これはその時その時のカラオケルームの「空間」自体を作り出しているからなんだよ」

「へえ…不思議な物ですね。それで、料金とかはどうなるんですか?」

「料金は、部屋の設定が終わったらその内容に合わせた基準料金が表示されるんだ。この金額に近いほど入力通りの部屋が生成される。すなわち基準料金より金額が少ないと貧相な部屋に、基準料金より金額が多いと豪華な部屋になるっぽいんだ。そして、入力か支払いが終わると、空いているロッカーのナンバーが表示されて解錠されるんだ。それでも、抽象的だったり要注意団体の本部は無理らしいけどね。後、モードは『普通』にしといてよ。報告書出さなきゃいけなくなるから。あと自費ね。……まあ、ものは試し、案ずるより産むが易し、GOGO!」

「ちょ、ちょっと、そんなに押さないでくださいよ。ちゃんと入りますから。…え、自費ですか?」

そうして、ディスプレイを押すと本当に入力画面が出てきた。さて、『普通』で、基準金額(自費)を払って…あれ?

「棚空先輩もここに入るんですか?ていうことは、料金は僕持ちですよね?」

「当たり前でしょ?ここは本来僕みたいなレベル3が許可して入れる所なんだから、僕が入る権利もあるはず。というわけでもう1人前入れといて!」

「ええ…まあ入れますけど。」

渋々お金を入れると、ロッカーがカチャリと音を立てた。どうやら開錠されたらしい。

「じゃあ早速開けてみてよ!きっとびっくりするよ~!」

「びっくりって…って、ええ!?」

俺がロッカーを開けた瞬間、《《身体が吸い込まれた》》。

「うおっと!? …あれ、別に何ともない。というか…もう着いたのか」

「やったー!久々のカラオケだー!」

少しびっくりしたが、もう着いたようだ。…棚空先輩は絶対に私用目的だ。SCPで遊ぶのはいいのか?と、俺のそんな心の内を見透かしたかのように反応してくる。

「これは実験だから!決して遊びだとか、その~…私用目的とか、そういうの無いから!」

「…。……まあいいですけど」

「じゃあ僕選んでおくね!」

「絶対私用だろ!」

カラオケが久々らしい棚空先輩はほっといて、中を観察する。…しかし、普通のカラオケボックスと何の遜色も無い。強いて言うならば窓が無く、2人部屋だから少し大きいことぐらいだ。

「じゃあ僕これね!」

棚空先輩が選んだ曲は…『わらびもちのうた』……? ええ、何これ……。

「これどういう歌なんですか…? めっちゃ怪しい感じしますけど」

「ん?僕の友達が作った…ああ始まっちゃう!」



おもちいろいろ らららびーん

それでもぼくには きなこにくろみつ

もちもち ぷるぷる かわいくしたいの

わらびらびらび らららびーん


きみにあげるの わらびもち

わらびせいぶん ほとんどないけど

ひゃくぱーせんとは たかすぎるから

わらびらびらび らららびーん


おいしいという きみのえがおは

なんだかすこし わらびっぽいな

あ きにしてたんだ それはごめんよ

わらびらびらび らららびーん


わらびらびらび らららびーん

「ふう!こんなもんかな!…あれ、餅屋くん?どうしたの、そんな顔して…?」

「い、いえ…大丈夫です…。」

「あ、やったー!98点!」

な、なんだろうか、この歌は……何とも言い難い、非常に、嫌な感じが…。しかも、高得点取ってるし…。

「さあさあ、餅屋くんの番だよ!」

「あ、はい…分かりました…」

とりあえず気分を持ち直して、俺達は利用時間ギリギリまで楽しんだ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


SCP-024-JP - 『カラオケBOXES 』

by ak1-yorunaga

http://ja.scp-wiki.net/scp-024-jp



こっそりSCP

『茅野博士の人事ファイル』

by K_kaya

http://ja.scp-wiki.net/author:k-kaya

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