第25話―唐突
「あつい…………しぬ…………」
今日は、兼ねてから決めてあったナカジマプールに来ている。ナカジマプール(正式名称はナカジマスパーランド)は割と大きなレジャー施設で、プールだけではなく温泉や遊園地まで取りそろえている。しかし俺たち3人はプールしか遊ばないつもりだが、夏休みだからか家族連れが多く、入場の時点で結構大変だった。
ちなみに、イベントが終われば後は大きな事も無いので、研修に専念出来て、そして俺もプールを結構楽しみにしている。最初はプールで午前中を使う予定なのだが、さっき着替えに行ってからもう15分ぐらい経っている。ずっと着替え室の前にいて、更には炎天下のせいで身体が熱くてたまらない。そんな俺を見てちょっと周りの視線がキツくなってきた。
「ママー!あのひと、さっきもいたよー?」
「シッ!ああいうのは見ちゃいけません!」
「……あいつら遅いな。俺はこの炎天下の中15分ぐらい待っているのに…あ、そんなこと言ってたら、緋鳥の方は来たな」
「すいませーん、ちょっと手間取ってしまいましたの。待ちましたか?」
まず最初に緋鳥が着替えてきた。その恰好たるや中々のもので、上は《《緋》》色のビキニで、大人っぽく仕上げている。下半身の部分は腰に巻きつける所謂パレオという物で、下半身の部分をあえて隠しているという部分が逆にエロい。狙っているなあれは。いや、それより気になることが1つある。
「ああ、大体15分ぐらい待った。まあ、そんなに気にしてないからいいが。それより、あのでっかい赤色のリボンが無いと何か変だな。」
そう、いつもなら緋鳥の頭の上にある、あのでっかい赤色のリボンが無いのだ。それが無いというだけで、いつもより違和感が大きい。
「いや、流石にプールでリボンは付けれませんわ。だって邪魔ですし、迷惑ですもの。それより、申し訳ありませんわ。この暑い中で15分ほど……本当にすいません」
「いや、本当に大丈夫なんだが、五月は許せん。何かやってやりたいところだが…少しトイレ行っていいか?」
「あ、はい。分かりましたわ」
そして、五月を待つ緋鳥を置いてトイレに向かう。そして終わらせたあと、緋鳥が誰かに絡まれていた。ここからだとよく見えないが、2人の知らない女の人に絡まれているっぽい。……! いや、あれはどうやら、《《俺もよく知っている人だったようだ》》。
「ええ、そうなんですよー。あなたのお父様…もとい『MAGOSADOU』には感謝しかありません」
「えっ!? そ、そうでしたの?それとは知らず、何と無礼なことをしてしまったのでしょう、大変申し訳ありませんわ」
「いえいえ~、何も考えずにいきなり話しかけてきた牡丹ちゃん《《が》》悪いので~、大丈夫ですよ~?」
「話しかけたのは時雨ちゃん《《も》》でしょ!?」
緋鳥がしっかりした大人への対応をしているが、それに感心している場合じゃない。何でいるんだよあんたら。そう思った瞬間、確かに【プールに行くか海に行くか】でこの前話していたことに気づいた俺はそのまま固まってしまい、逃げることが出来ずに見事にバレてしまった。
「ところで、今日は1人なんですか?」
「いえ、そういう訳ではないんですけど…あ、あそこで固まっている人ですわ。おーい、餅屋さーん?」
「「餅屋さん!?」」
2人がびっくりしたようにこっちに振り向くが、俺が一番びっくりしている。何で潜入捜査の一環(カッコよく言ってるがただ遊びに来ただけ)で上司と会わなきゃいけないのか?
「え、マジで!? え、マジで!?」
「ありゃ~…これはまた~、凄いことになったわね~…」
「え、餅屋さん、お2人と知り合いなんですの?」
「あー……そうだな。俺の…そう、親戚だ。いとこの棚空さんといとこの春夏冬さんだ」
ここで、即興で作ったカバーストーリー【親戚】を使う。もちろん、棚空先輩と春夏冬先輩にも目配せしておく。
「え、あ、そうなんですの? それはその、凄い偶然ですわね? えっと、とりあえず…一緒に泳ぎますか?」
「え、いや、緋鳥? お前何言ってるんだ? え、先…棚空さんもそう思いますよね?」
「うーん…まあ、せっかくだし、遊ぶ?」
「そうだね~、このまま個別で泳いでも~、しょうがないよね~。せっかく久しぶりに会ったんだから~、遊ぶ方がいいかな~?」
「マジか…いや、でも人数が多い方が楽しいか」
そうして、なりゆきで決まってしまったナカジマプールで自分の上司と一緒に午前中を使うことになってしまった。…あれ、結局五月は出てきてないな。
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あとがき
どうも、前回あんだけ言ったのに結局ツイッターを使い始めた、餅屋五平です。
今回は一気に書こうとしたら長くなってしまったので上下編で分けました。
疲れたなこりゃ。




