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焦る勇者

 有無を言わさずルージュによる猛攻が始まった。少々驚いたのはピオンスコの動きが良くなっている点だ。ルージュの攻速は変わっていないが、それをしっかり目で捉えることができるようになっている。


 やはり三人の中では戦闘におけるセンスはピオンスコがピカイチのようだ。


 さあ、ラスキャブはここからどう動く…?


 その場の全員の注目を浴びながら動いたラスキャブは気合いを込めた声を出しながら、槍を重い気地面に叩き付ける。


「やぁぁあああ!!」


 一見、意味の分からない行動にオレもルージュも眉をひそめる。しかし次の瞬間にはラスキャブの狙いを理解した。地面の所々が隆起したかと思うと二種類の動物の骨が湧き出してきたのだ。オレは骨格からして恐らくはクローグレとシージライノの骨だと推測した。


 これは…スケルトン兵だ。


 文字通り骨を操り兵士として使役する魔術の一種。かつて二度ほど人型のスケルトンと戦ったことはあるが、動物型のは初めて見た。今までは死体を操るパターンでしか垣間見たことはなかったが、ラスキャブの本分は屍術にある。肉の残る死体と白骨化した死体の間に差はないのだろう。


 スケルトン達は統率された動きを見せてルージュに襲い掛かった。


「っち」


 ルージュのそんな舌打ちが耳に届いた。


 襲い来る骨たちは肉付きのそれと違って耐久性はほとんどない。しかしそれを再生力でカバーしている。斬ろうが折ろうが砕こうが攻撃の手を一向に休めない。流石にルージュ相手に決定打にはなっていないが、ピオンスコを猛攻から救い出す隙を作るくらいはできている。


 とは言えこの手の戦法には共通の穴がある。術者が死んだり、集中を欠けば機能不全に陥るという事。つまりはラスキャブ自身が攻撃されると脆い。


 本来はそういう時のためにオレのような存在が盾となるのだが、この状況ではそうもいかない。


 物理的な防御力には自信があるだろうがルージュはピオンスコが魔法にはさして強くない事も知っている。オレの予想通り遠距離から魔法で攻撃をする構えを見せた。


 しかし。


 ルージュの放った魔法の弾は訓練用とは程遠いほど実践級のモノだった。傍から見ていてもまともに当たれば死ぬまでは行かずとも大けがをすることは必至だ。オレは間に合うはずもないのにラスキャブを庇おうと動き出していた。


 てっきりラスキャブも固まって動けなくなっているだろうと思った。が、実際は違った。今だかつて見たことのないような鋭い目つきで魔法の弾を見据えた彼女は、同じくらい研ぎ澄まされた槍の先端をソレに向けて立ち向かっていったのだ。


読んで頂きありがとうございます。


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