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嫌気がさす勇者


「主の名前が何か関係あるのか?」


 聞こうか聞くまいかと悩んでいたオレの代わりにルージュが尋ねてくれた。痒い所に手が届くとは正にこのことだろうな


「・・・昔な、このギルドに所属していた戦士の名前と同じなのさ。かつて魔王に挑んだパーティの一人でな、他の面子は貴族や神職のエリート揃い、その中にあって平民のフォルポス族だったザートレは血筋ではなく実力を認められてリーダー格になった」


「・・・」


「色々なパーティやギルドが一目置いていたパーティだったと聞いてるぜ。『煮えたぎる歌』の中じゃ、あれ以上のパーティは現れないって言われている…だが、とうとう戻ってこなかった。その上魔王は健在。ということはつまり…そういうことなんだろうな」


 落胆気味に男は答えた。


 しかし、すぐに取り直して他にも色々な逸話を教えてくれた。『煮えたぎる歌』の中ではオレたちの名前を知らない者はいないこと、それに憧れてギルドにやってくる者が多い事、勝手に作られた物語まで本になっているらしい。


 知らなかった…。


螺旋の大地(ヴォルート)』に行き、一番目の試練に挑んでからはこちらの情報は何も入っていなかったからだ。聞かされたエピソードも大まかな内容はその通りだったが、少々でない尾ひれがついている話が多い。何だかひどく恥ずかしくなっていた。


 名前と今さっき披露してしまった技前のせいで、その時ギルドに居合わせた奴等からは引っ張りだこであった。闘い方の助言やら、手合わせをしてほしいやら、椅子に座る間もない。


 その内に、受付の男と同じくかつてのパーティの伝説やらを楽しそうに語らい始めた。ただ、その中で興味深い話をしている男がいた。


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 確かにそう言った。


 それはルージュの耳にも届いていたようで、オレ達は神妙な面持ちで顔を見合わせた。


 逆行が不可能な『螺旋の大地(ヴォルート)』の、それも魔王との闘いの噂にしては妙に信憑性のある話だ。そしてオレ達はそれが噂話ではなく、事実であると知っている。偶然の符合とはとても思えない。


 オレはそれを言った男を捕まえて、掘り下げて話を聞いた。


「僕達はルクーサーから流れてきたんですけど、向こうでそんな噂を聞いたんですよ」


 聞くには噂の大元はルクーサーで使役されている多くの魔族たちだと言う。確かに『螺旋の大地』は一方通行で後戻りはできないが、例外がある。それが魔王だ。どのような方法であるかは知らないがあの魔王に限っては、随所にある試練の門を通り抜けることができるらしかった。情報だけを送るというのなら、更に簡単な方法があるかもしれない。


 問題は、何故その情報が漏れているか、だ。


 意図的なモノなのか、それとも不可抗力の結果なのか。


 少なくともオレの中には迷いというか疑念というか、とにかく嫌な感覚が芽生えていた。


 まったくもって嫌になる。


 闘う以外のことで頭を使うのはあまり好きではない。

読んでいただきありがとうございます。


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