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悩む勇者


 三人は指示した通りベットに腰を掛けた。オレはその三人の前に椅子を置き、改めて趣旨通りのことが始められる。


「それでどういった事をお話するのでしょうか?」

「堅い話じゃないんだが、さっきトスクルがその靴の性能を試したとき少し溢していただろう。オレ達の役に立たないかもしれないということに負い目に感じていたと」

「ええ。確かに言いました」

「その時に考えてな…知っての通りオレはかつて組んでいたパーティに裏切られた。その時に散々と積もらせた鬱憤をぶつけられてな。それを反省しようと思ったんだ。オレに対して思ってることとか、言いかねている事があれば教えてもらいたい。ここから先は遺恨なく歩みを進めるようにしたい」


 オレがそこまで言うと三人の顔をチラリと見た。するとラスキャブがはあっと溜息を洩らした。


「やっぱりびっくりです」

「そ、そんなにか?」


 オレがこんな場を設けて腹を割って話すのがそんなにおかしいのだろうか。そんなオレの顔でもおかしかったのかトスクルがくすくすと笑い始めた。いよいよ恥ずかしさが勝ってしまう。


「すみません、笑ってしまって」

「いいさ。そういうために設けたんだ。笑いたいなら笑ってくれ」

「いえ、そうではないんです。私も思ったことがありまして」

「何をだ?」


 オレがそう聞くとトスクルは真顔になり、座ったままピンと姿勢を正した。


「ザートレさん。反対にお聞きしたいです。もしもこの先あたし達が裏切り魔王に再び組することがあったとして、ザートレさんはどうされますか」

「…斬るだろうな」


 自分でも驚くほど冷たい声が出た。しかし事実だ。


 オレはつい戦いにでも赴くようなオーラを纏ってしまう。


「そんな事は起こってほしくはないが、仮にそうなったとしたら…間違いなく斬るだろう」

「…」


 返ってきたのは沈黙だった。


 それもそうか、こんな無慈悲な本音をぶつけられたならそういう反応になるのも頷ける。


 しかしトスクルは、


「良かった」


 と短く呟いた。


 オレにはその言葉の意味が分かりかねる。それはラスキャブとピオンスコも同じようだった。


「二人は口下手ですから私が代弁してお話しますね」

「おう」

「私達三人が一番恐れている事ってなんだかお分かりですか?」

「…なんだ、死ぬことだろうか?」

「それよりも怖い事ですよ。だから私は先ほどあの靴を頂いた時、心底嬉しかったのですよ」


 真剣に考えてみる。しかしこの三人が恐れている事にオレはまるで見当が付かなかった。


「簡単ですよ。私達が一番怖いのは…ザートレさん。あなたの足手まといになる事です」


読んで頂きありがとうございます。


感想、レビュー、評価、ブックマークなどしてもらえると嬉しいです!


※また新作を投稿しております。そちらも合わせて応援を頂けますようお願い申し上げます。


 ↓


『魔王を倒した勇者の息子に復讐をする悪堕ちヒロイン達』


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