トラウマを思い出す勇者
「だ、大丈夫なの?」
ラスキャブは思わず心配そうな声を掛ける。オレも今のを目の当たりにしてしまっては何よりも心配が勝つ気持ちは理解できる。
しかし当の本人はケロッとした様子だ。だがあれだけの威力が生まれるほどの落下をしていてノーダメージなのはそれはそれで不気味だった。
(どうだ?)
(はい。何ともないですね、大丈夫です)
(よっしゃ。じゃあ成功だな)
(そのようだな)
そんな会話でオレはピンと来た。あの驚異的な耐久性はアーコの魔法によるものか。オレがそう頭に過ぎらせると、すぐに肯定の言葉が飛んできた。
(お前の言う通りだぜ。さっきのシージライノ戦で付与って使い方を覚えたからよ、こういう使い方の発想ができた)
(落下のダメージを軽減した理屈は分かったが、あの威力は何だ? トスクルの体重を思えばあんな隕石みたいなことにはならないはずだぞ)
(さっき履いてる奴の体重を変える仕様になっちまったっていっただろ? 軽くするだけじゃなくて反対に重たくすることもできるんだよ。機動力が必要な時は軽くなって攪乱して、いざという時は超重量級の一撃を加えられる。中々すげえだろ?)
…確かに。これはかなり有益だ。重量と言うのは肉弾戦において要所になる事が多い。それを自在に変更できるというのは意表を突くという観点からも期待値が大きくなる。
(しかも私にはイナゴを操る能力までありますからね。普段は攪乱役に徹して相手を油断させておき、隙をついて上からの一撃を加えるというのは奇襲性も高いです)
(ああ。オレのような接近戦に生きてるような奴らは左右背後に気を配ってはいるが頭上は隙だらけのが多い。隠し通せれば奥の手として十分に使える技だ)
オレがそういうとトスクルは微かに笑った。その表情にはどことなく安心感が漂っているような気がした。
(? どうかしたのか?)
(いえ。正直私はこのパーティの中で一番攻撃に向かない存在だったので少し引け目があったんです。お役に立てていないのではないかと)
(えぇ!? トスクルが役に立ってない訳ないじゃん!)
(そ、そうだよぅ。トスクルがこのパーティで役に立ってなかったら私なんて…私なんて)
オレは言葉を失いながら三人の様子を眺めていた。
まさかトスクルがそんな事を思っていただなんて想像もしていなかったのだ。ラスキャブもピオンスコももしかすればルージュやアーコも胸に何か閊えていたりするのだろうか。
オレの脳裏にはかつてのパーティに裏切られた時の事が思い返されていた。
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