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歩く勇者


 こちらから見れば勧誘。


 あちらから見れば恫喝。


 いずれにしても二人連れに、新しく仲間が加わった。


 そこそこの実力を持ちながら、何故ほとんどの記憶を失ってあんな辺鄙な森にいたのか。気になることは頗る多かったのだが、召喚士を仲間にできたのは総合的に見てメリットが大きい。


戦闘において、急に頭数を増やせるから敵が試算したプランを崩しやすいし、仮に召喚士とばれても手持ちの召喚獣まで完璧に予測するのは不可能だ。


 戦闘以外でも便利な能力を持っている召喚獣、例えば深みのある河川を渡るのに適した水棲の怪物、果実を実らせる植物系の怪物などを確保できれば、旅がずっと楽になるはずだ。


 職業別の可能性の幅で言えば、召喚士はトップクラスで大抵のパーティは欲しがる存在といえる。召喚獣を保持して操作するのは召喚士そのものの力量次第だから、理論上は半無限に手持ちを増やすことができる。クローグレを二体同時に召喚する時点でかなりの高レベルであり、伸びしろのある召喚士と言える。


 そんな事を道すがらルージュに説明しながら歩いていた。


 件の召喚士であるラスキャブはオレ達の五歩ほど後ろをおっかなびっくり着いてきている。歩くたびに青い髪の三つ編みが二本揺れていた。


 ◇


 ここまでくれば町は目と鼻の先であり、入り口の門やその門衛の姿が小さく見えた。


「さて。いよいよルージュとラスキャブをどうするかだな」


 堂々と魔族を連れて町に入る訳にも行かない。かと言って顔を隠したりするための装備は町に入らなければ手に入らない。魔王城の近辺の町であれば、魔族を使役しているようなパーティが多いから目立ちはしないが、こんなところではそうもいかない。


「念のために聞くが、姿を変えるような術やそれができる召喚獣を持ってはいないのか?」


「すみません。どちらも持っていないです」


「だろうな」


 そんなことができたのなら、ラスキャブはとっくにあの森を出ていただろう。


「二度手間になるが、私とラスキャブは身を隠していて主が必要最低限の物を買ってくるという方法もあるが」


 言われて気が付いた。確かに無理して一度に町に入る必要はない。簡単なフードやローブを調達してくればいいだけの話ではある。


 もう少し近づいても妙案が浮かばなければルージュの案を採用しようと思った。


 すると、前方からこちらに進んでくるフォルポス族の者があった。ルージュをラスキャブを匿おうかと思ったが、生憎と隠れられそうな場所はどこにもない。旅人一人くらいなら誤魔化せるだろうと思ったオレは、そのまま歩みを止めなかった。


 すると、こちらに気が付いたのか、向こうから声をかけてきた。


読んでいただきありがとうございます。


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