表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

8.トマスの不服

トマス視点です。

 エルシーの様子が最近変だ。以前なら、どんなに仕事が忙しくても厨房に顔を出さないことはなかったのに。最近は厨房に顔をだすのはナナオ様の茶器を片付けるときだけで、しかも俺に話しかける余裕もないらしい。

 また余裕が出てきたら、厨房でまた一緒にお茶が飲めるだろう・・・そう思っていたのに。


「ナナオ様。エルシーが最近一緒ではないようですが」

 厨房で俺の書いたレシピでケーキを作っていたナナオ様に聞いてみる。

「エルシー?そりゃあ一緒じゃないわよ。クロスビー家にいないもの」

 俺はナナオ様の返答に耳を疑ってしまった。

「はあ?エルシーの仕事はナナオ様の世話係なのに、ですか?」

「ちょっと、エルシーの助けが必要なところに行ってもらっているの。」

「はい?それってどこですか?」

「トマス、混ぜ具合はこれくらいでいいのかしら」

 ナナオ様は俺の質問に答えずに、材料を混ぜた状態を見せてきた。

「へらですくって、角がたったらいいですよ・・・って、ナナオ様。質問に答えてくださいよ」

「どこかって聞いてどうするのよ」ナナオ様は生地をへらですくった。

「どこにいるかだけは知っておきたいんです」

 知っておけば、俺が安心する。

 ナナオ様は、角がたった生地を型に入れ表面を平らにならした。

「トマス、あとはこれを天火に入れるのよね。もう入れていいの?」

「埋め込んである魔法石が赤くなってからですよ。・・・ナナオ様。エルシー、どこに行ったんですか?」

 ナナオ様は魔法石が赤くなるまでじっと天火を見つめ、赤くなったのを見て型を天火に入れてフタを閉じた。

「エルシーは、ベルカフェに行ってもらってるの」

「何でまた」

「ベルさんの手伝いをしている女性が1週間ほどアイルズバロウ家の仕事でどうしてもカフェのほうに来られなくなってしまってね。エルシーなら接客慣れしてるからどうかと思って。打診したら、喜んで行ってくれたわよ」

「・・・・どうして、俺に何も言わなかったんだろう」

 俺のつぶやきを耳ざといナナオ様は聞き逃さなかった。

「付き合ってるからって、何でも相談したりしないでしょう。」

「そりゃそうですけど。」でも、正直ナナオ様の申し出を俺に相談もなく引き受けたエルシーにちょっと腹が立つ。


「そういえばエルシーのベルカフェ最後の日はトマス、休日じゃなかった?」

 俺は、厨房にかけてある暦をみた。確かに、俺の休日だ。

「・・・・ナナオ様」

「何かしら」

「俺がエルシーを迎えに行ってもいいでしょうか。」

「トマスの休日じゃないの。好きに使いなさいよ」

 ナナオ様がにっこりと笑った。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


ナナオがエルシーに持ちかけたのはベルカフェの手伝いでした。

ご都合主義好きで、ごめんなさい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ