1.さよならの朝
初めましての方は初めまして、前作を読んでいただいた方はお久しぶりです、作者の鷹利です。
あらすじを読んでいただけた方であればお分かりかと思いますが、今回は人間とアンドロイドの織り成す恋愛という歪で不思議な尊い恋愛です。
何故病気で亡くなったはずの恋人に似たアンドロイドが主人公の元に送られてきたのか、前作同様、散りばめられた伏線を探しながらお楽しみいただければ幸いです。
その日はお日様の明るく清々しい風が吹いていた。
暖かな心地良さに惹かれ、多くの人が出かけたがるような平穏な日々。
だが、それは限りある幸せを「当たり前」と勘違いしている人間の思い込み。
「日常」とは「有限」である事を今日、僕は改めて思い知らされていた。
「翔ちゃん……。
ごめんね……こんな弱い私で…」
「何言ってるんだ涼子……。
君はよく頑張ったよ…。
ただ………運が悪かっただけなんだよ。
涼子は…何も悪くないよ」
暖かな蛍光灯とエアコンが効いてる病室で、心電図の機械音が無常にも彼女の生命の遠のきを教えていた気がした。
僕の隣で彼女のご両親が涙を流して彼女の手を握っていた。
ご両親が触れている彼女の身体は、病気によって極限レベルにやせ細り、病床に伏せる前の彼女を知る人間であれば目を背けたくなるほどだった。
「翔ちゃん……。
私ね………翔ちゃんと居れて幸せだったよ…。
だって……私…胸がすごくときめいてるの…。
お父さんとお母さん……それに翔ちゃんが一緒に私の最期を看取ってくれると思うとね、不思議と安心してる自分がいるの。
…変だよね……私…おかしくなっちゃったのかな…」
「そんな事ない…。
涼子にそう言ってもらえるだけで、僕も嬉しいよ」
今にも喉奥から飛び出してきそうな悲しみをぐっと堪え、僕は涼子……最愛の恋人にささやく。
「ありがとう翔ちゃん…。
………でも……ごめんね………」
その言葉を最後に涼子が目を閉じると、その直後、心電図が一直線に彼女の人生の終わりを無機質にも告げた。
「あ…………。
涼子……涼子ぉぉぉぉぉぉ…!!!!!!!!」
堪えていた涙が一気に溢れ出てくる。
まだ、別れの言葉も言っていないのに、彼女は笑顔でこの世を去ってしまった。
「涼子……涼子ぉ……」
血の気が無くなった彼女の頬はひどく冷たく、残されたご両親と僕は何も出来ず……ただ……無力だった。




