1話:全てはドラマ一気見の為
1話のみ少し短めになります
キーンコーンカーンコーン…
柏陽高校ではHRが終わり、
生徒各自、用事や部活に行こうとしている所だ。
柏陽はこの地方でも名を馳せる進学校であり、スポーツや芸能、文化面でおいても有名で、しばしメディアなどで目にかかる事が多い。
だがそれに比べ魔法面に関しては、お世辞でもいいとは言えないだろう。それはともあれ生徒それぞれが部活へと散っていく中、廊下を速歩きで進む影が二つあった。
「今日こそは!神に誓って残りの課題を終わらせてネトへリでドラマを見終える!!その為に俺はいつも以上に早く帰らないといけない!!」と、廊下で早歩きしながら独り言を喋るのは光井輝。もちろんこんな事を言っていられるのは彼が帰宅部だからだ。
「輝、その走りながらブツブツ意味わからないコト言う癖辞めろよ。気味悪い。」彼の隣にいるのは親友である(実際にはいつもいるだけでそこまでお互いを理解し合えてはいない)森田茂だ。彼はテニス部のラケットバッグではなく、自宅のパン屋のロゴ入りエプロンをバッグからのぞせている。
「うっせーやること口に出さねえとやってけねえだろ。」
そんな他愛もない会話をしているのも束の間だった。
「んじゃ、また明日な。」
茂が力なく手を振る。頼みの綱だったパートの叔母さんが休みに入ってから、彼の指先にはいつも微かに小麦粉が白く残っていた。
東門と西門で家が逆方向な二人は、校舎を出て長いグラウンドを抜けるとバラバラになってしまう。輝は早歩きの速度を少し落とし、茂の挨拶に軽く手を振り返した。
そして少し歩いた時、輝の身で不気味な気配が首筋を撫でた。なんだ?感じた事があるようで無いような。少し寒気がして嫌な感じ。その時だった。ゾッとした。




