2 VS 二尾の魔女団
森の中を進んでいた、そのときだった。
空気が弾ける音がした。
「――っ!」
反射的に身をひねる。
直後、背後の地面が爆ぜた。
土が跳ね上がる。
さっきまで自分が立っていた場所が、抉れていた。
「魔毛弾か……!」
「赤髪、ようやく見つけた!」
声の方に顔を向ける。
枝の上に、女が立っていた。
金髪を左右に分けて結った長い髪の魔女だった。
別の木の上にも、もう一人。
背後の茂みからも一人現れる。
全員、同じ結い方の髪。
相棒が静かに言う。
「二尾の魔女団…!」
「赤髪の魔女、捕獲する」
「人気者だなあ」私は肩をすくめた。
「早く下がって」相棒が短く言う。
三人の魔女が同時に、右に結った髪をつかむ。
ざくり、と刃が走る。
切り落とされた髪束が、手の中で光る。
「100mm、変換」
髪を魔法に変換した。
私たちは同時に後ろへ跳んだ。
三人の魔女が人差し指をこちらへ向ける。
魔毛弾が連射された。
相棒は腰の刀を抜き、いくつかの魔毛弾を切り落とした。
「全部は防げませんよ」
「仕方ない」
私は自分の毛を1本抜き、魔力を灯した。
「毛幕、展開!」
次の瞬間、白い煙が爆ぜるように広がった。
森の中が一気に覆われ、視界が完全に遮られる。
「ちっ、なにも見えん」
「さすがは赤髪、魔力効率が段違いだな」
「1本でこんな範囲、卑怯ですよ!」
煙の向こうで魔女たちが声を上げる。
「そこ!」
相棒の声。
「――っ!」
短い悲鳴。
煙の中で刃が走る。
二尾の魔女の左側のおさげが切り落とされた。
結っていた髪がほどけ、地面に散る。
「ぎゃああああ!! 私の髪が!!!」
「ハナコ、離れて」
「はい」
相棒のハナコは大きく跳び、三人の魔女たちから距離を取った。
私は後ろで一つに結んだ赤い髪をつかみ、腰のナイフを抜いた。
「20mm、変換」
自ら切った赤髪に魔力を灯すと、髪束が黒く燃え上がる。
直後、爆音。
空気が潰れ、周囲が吹き飛んだ。
相棒が周囲に目を走らせる。
「……終わりましたか」
「たぶん」
私は短くなった毛先を触る。
煙の向こうで、二尾の魔女団の二人が後退していくのが見える。
やがて森の奥へ消えていった。
そのとき、別の方向から枝が折れる音が聞こえた。
相棒が振り向く。
「……一人のこってました」
視線の先。
髪を切られ不格好な髪型をした魔女が、足を押さえていた。
仲間に見捨てられ、逃げ遅れたようだ。
「あの……手、貸してくんない……?」




