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第2話 「呼びすぎた、残り十二時間」
洞窟の外は断崖絶壁だった。
老体の膝が笑う。
寒さで手が震える。
石の階段を半分降りたところで、
青く光る魔法陣を見つけた。
休憩のつもりで杖を立てた瞬間、発動する。
「止まれ……!」
止まらない。
代わりに、水の気配が満ちる。
現れたのは水の精霊ニンフ。
「ご主人、お久しぶり〜!」
違う、呼んでない。
事情を説明すると、ニンフが言う。
「移動ならワイバーン呼べば?」
澄んだ紺色の空を思い浮かべ、名を呼ぼうとした瞬間。
「ワイバーンとドラゴンは別だからね?」
余計な情報が入った。
空が裂ける。
顕現したのは、翼持つ巨大な蛇竜。
『我はヨルムンガンド』
森が、その威圧だけで沈黙した。
(……また間違えたな)
だが目的は移動だ。
「見ての通り老体だ。地上まで連れてってくれ」
『我は神ぞ』
「同等ってことで、友だち価格で頼む」
一瞬の沈黙の後、竜は笑った。
『よかろう』
その光景を、下の村人が見ていた。
竜が咆哮し、天へ飛び去る。
地上に残された、よぼよぼの老人一人。
遠くで悲鳴が上がる。
「竜を従えてるぞあのジジイ!」
……説明、いるよなぁ。
残り時間、十二時間。




