自作のブラウザ拡張機能の紹介
調べてみると、一年ちょっとくらい前からですか。Chromeのブラウザ拡張機能というものを作って、なろうを読むのに使っています。アイディア出しと進捗の報告とか、導入方法の説明とかリリースアナウンスとかは別スレッドでやっていたのですが、「こんなことができるんだよ」という紹介をきちんとしたことはありませんでした。ですので、ここで一つ独立して紹介をしてみたいと思います。
この拡張機能で実現できることはいくつかあるのですが、それらを個別に説明してきます。
※スクロール・次話送りを簡単にする
<簡単なスクロール>
拡張機能を導入すると、エピソード表示画面などにおいて、画面下部に半透明のバーが表示されます。この部分を単にタップ/クリックすることで、ページスクロールを行う事が出来ます。
通常、スマホなどで本文を読んでいる場合、スワイプ動作でスクロールを行いますが、スワイプ動作は意外と指や手肘に負担がかかり、長く読んでいると手を痛める可能性すら出てきます。さらに、スワイプ中は目で読んでいる位置を追いかけて、見失わないようにしないといけません。
拡張機能を使うと、タップという最小限の動作でスクロールを行えるので、手の負担が軽くなります。また、スクロール量も決まってくるので、半透明バーのところまで読んでスクロールしたら、次にどこから読めばいいのか、というのははっきり判ります(多分、画面上部に2-3行目あたり)。このため、スクロールを目で追う必要もなくなります。
<簡単な次話送り>
そして、画面をスクロールさせて本文を読んでいき、エピソードを読み終わった段階で再度タップすると、次話に自動的に移ってくれます。つまり、バーをタップし続けるだけで、どんどん読んでいくことができるわけです。
<一覧画面への復帰>
ランキングなどから(個人的には短編のブックマークはまれ)短編を開いた場合、本文を読み終わった状態でバーをタップすると、元の画面に復帰します。具体的には、新規タブで開かれた場合はそのタブを閉じ、同じタブで遷移した場合には「戻る」動作を行います。
これは、連載の最終話の場合も同様で、ブックマークから最新話が投稿された小説をタップして表示させたときは、本文を読み終わった状態でタップするとブックマーク画面に戻ります。残念ながら、複数話を続けて読んだ場合は「戻る」動作になってしまうので一話前に戻ってしまうのですが、これはいずれは何とかしたいなと思っています。
<水気の多い場所で>
さらに用途としてはちょっと特殊ですが、お風呂の中など手が濡れた状況で使う場合。スワイプ動作は画面を汚して濡らしてしまう事がしばしばです。画面上に水滴が残っていたりすると、次のスワイプ動作がピンチイン/アウトになってしまってスクロールさせられないという事が発生します。
タップでスクロールできれば、画面に付く水滴も最小限に抑えられ、かつそれが画面最下部なので画面を垂れて流れて悪さをする、という事もほとんどなくなります。
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※自動しおりの動作改善
昨年秋、自動しおりが実装された際は、かなり非難の声が上がっていたと思うのですが、皆さんはもう慣れてしまったのでしょうか。今はもう苦情を聞くこともあまりない気がします。
拡張機能は、この自動しおり動作を改善してくれます。
<既存の自動しおり動作の停止>
既存の自動しおり機能は、しおり位置より後のエピソードを開くだけで、その位置にしおりが移動してしまいます。このため、下手をすると読んでいた部分が判らなくなってしまいますし、また現在のしおり位置のエピソードが完読されたのか、そうでないのかも分からなくなってしまいます。
拡張機能は、この自動しおり移動の機能を停止させます。
<しおり位置の次話を完読したときに、そのエピソードにしおりを移動>
既存の自動しおり移動を停止させますが、それとは別にしおり位置の次、つまり実際に読むべきエピソードを読み終えたら、そこにしおりを移動させます。実際に読んだかどうかはもちろん判断できませんので、次話移動を可能にするナビゲーションバーが表示された時に、しおりを移動させることにしています。
つまり、それまでの段階では読み止ししても、しおり位置は移動しません。ですので複数のデバイスを使って読んでいる場合とか、必ずしおりの次話から読み始めればよい(読んだところは読み飛ばさないといけませんが)ということになって、管理が楽になります。
個人的には、自動しおりの機能自体が本来こうあるべき、だとおもうんですけれど。
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※ブックマーク一覧の表示改善
<完読作品の非表示>
多くの作品をブックマークしていると、未読の残っている「読まなければならない」作品と、最新話まで完読している作品とが混ざってしまいます。このため、読むべき作品を探すのがちょっと面倒になります。一応、UIリニューアル時に、完読作品は次話ボタンがディゼーブルになり、色が少し変わるので多少は見やすくなりましたが、それでもスクロールさせて読むべき作品を探す手間はかかります。
拡張機能では、この完読している作品を一覧から非表示にすることができます。このために、読むべき作品を探すのが格段に楽になれます。この機能は画面操作でOFFにすることもできますので、必要があればもちろん完読作品も一覧に表示させることができます。
<未読数による色分け>
各作品の次話のボタンの色を、未読数に応じて変える事が出来ます。
このため、例えば「青は最新話が投稿されたので、すぐに読むのが良い」「緑は数話溜まっているので、早めに読むこと」「黄色はちょっと溜まりすぎたので、気合を入れて読まないと」「紫になると、よほど時間があるときでないと追いつけないから、とりあえず放置」みたいなトリアージができるようになります。
<タップによるスクロール>
このバーによるスクロールは本文以外でも比較的多くの画面で使用することができ、もちろんブックマーク一覧画面でもバーのタップで画面をスクロールさせられ、かつ画面最下部まで来たら、次ページへと切り替える事が出来ます。
この、スクロールのためのバーを有効にするかどうかは画面種別ごとに個別に指定する形になっていますので、対応していない画面については希望があれば機能を追加することも不可能ではないです。
<ロングタップ/右クリックによる更新>
連載の最新話を読んで戻って、を繰り返すと、本来は完読である作品が表示されたままになってしまいます。これは、戻る動作をしているので、いわばキャッシュを表示しているからです。これを更新するには、PCならF5キーとか、あるいはブラウザの再読み込みのボタンを押せばよいのですが、この拡張機能はロングタップに更新の機能を割り当てています。
ですので、ロングタップをするだけで、一覧表示を最新に更新することができます。
実は、この一覧表示の改善が、拡張機能の始まりだったんですけれどね。いまではスクロールサポートの機能にすっかり母屋を取られてしまいました。
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※誤字報告操作の改善
<報告操作の簡易化>
誤字報告は割とする方なんですが。以前は誤字報告をするためには、誤字を見つけたら
1. 画面下部までスクロールして、誤字報告リンクをクリック
2. 誤字報告画面で誤字報告を作成、一番下までスクロールして、ボタンをクリック
3. 確認画面・完了画面と進む
4. 3回戻る作業をして、本文に戻る
5. 本文を逆スクロールして、読んでいたところに戻って、再度読み続ける
という操作が必要でした。
見つけるたびに毎回報告をすると、スクロールの手間がかなりかかります(特に本文が長い場合)。さらに、前述の自動しおり機能がある場合、誤字報告リンクまでスクロールすると、しおりが移動してしまいます。また、最後に読んでいた部分まで戻るのも大変な作業です。
これを避けるには、本文を全部読んで、誤字をまとめて報告すればそれでよいのですが、そちらはそちらでどこに誤字があったのかを忘れてしまい、結局報告しないままになってしまったりしました。
拡張機能では、誤字報告は次のような処理で可能となります。
1. 画面下部のバーをロングタップ/右クリックする。すると、誤字報告画面に遷移する。この際に、しおり位置は移動しない。
2. 必要な場所までスクロールして修整。その後、まだバーをロングタップすると、確認画面に遷移する。
3. 確認ボタンを押して完了画面に遷移する。
4. バーをタップすると、エピソード画面に戻る。この時の画面表示内容は、誤字報告を開始したときとおなじなので、本文を読むのを再開するのも簡単。
と、操作がとても簡略化されます。これが出来るようになってから、誤字報告の回数も随分増えたように思います。
2の、修整位置までスクロールっていうのは、ちょっと手間がかかるので、こちらもいずれなんとかしたいなあ、とは考えています。
<誤字報告についてのコメント>
これは、拡張機能とは別の、全くの余談です。
誤字報告は、多くの場合作者さんに喜んでもらえるのですが、嫌われる報告の仕方もあるようです。そのような報告は避けるように、という戒めの意味で、ちょっとまとめておきます。
1. どちらでもいい、漢字/ひらがなの使い分けは報告すべきではない。
これは、表記ゆれであってもあまり好まれないようです。特に、その使い分けの方針が読者と作者で異なる場合は嫌われる可能性が高くなります。そして、それを複数のエピソードで繰り返し行うとなると、かなりアウトに近くなります。
誤り、と言い切れないものについての報告は、控える方が賢明です。
2. 文章の改訂をしない。
誤りではなく、「こちらの方がより分かりやすい」というたぐいの修正も好まれない場合が少なくないようです。
同じ言葉が二重に使われ、どちらかを削除すべきというような場合も、どちらを削除するかは作者さんの判断によるので、感想で指摘することはしても、誤字報告で指摘するのは微妙かもしれません。
3. 過去作についての報告はなるべくしない。
現行作の最新数話の報告であれば、嫌われる事は少ないと思うのですが、過去作についてはあまり喜ばれない場合も少なくないようです。完結してから読む、という読者も少なくないので、過去作についても修正はした方がいいとは思うのですが、誤字報告の適用もちゃんとしようと思うと意外と作者の気力を時間を使うことになったりします(適用の有無を判断しないといけないので)。
特に過去の完結作の場合、読み手はどんどん読み進められるわけですから、10話20話にわたって、大量の報告をすると「もうやだ」となってしまう事も出てくるのではと思います。
過去作の誤字報告をする場合には、少なくともペースを調整して、毎日ログインする作者さんなら一日に1話とか2話とかの報告に留めるとかした方が良いように思います。
ほかにも、喜ばれない誤字報告については、過去にエッセイとかあったと思いますので、そちらを参照されるのも良いかと思います。
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※画面のトップ/終端への異動ボタンの削除
些末な変更なのですが。なろうのデフォルトでは、画面の上部または下部への異動をするフローティングボタンが表示されると思います。それこそ、誤字報告をするような場合にこのボタンを使うとスクロール作業が不要になったりするので、全く意味がないわけではないのですが。
それでも、画面の状況によっては、これが本文にかぶさって本文が読めなくなることがあります。もちろん少しスクロールさせれば読めないことは無いのですが、非常にうっとうしい。
この拡張機能は、このうっとうしいボタンを表示しないようにしてくれます。
些末な変更でも、細かい改善により、読みやすくなるのならそれに越したことはないでしょう。
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さて、以上が拡張機能で実現される主要な機能となります。はたして刺さる機能があったでしょうか。もしこれは、というものが有ったら試してみるのはいかがでしょう。
実際の導入方法については、
https://ncode.syosetu.com/n6677jr/
を参照してください。
ってここまで触れないで来ましたが。拡張機能はPCではChrome/Edgeで問題なく使う事が出来ますが、モバイル環境だと、専ブラを導入するレベルでちょっと面倒があります。特に、Edge Canaryは時々画面が全く開けなくなるようなバグが導入されたりしますので(数日で解消されるとは思いますが)、不安程度は残念ながら高いです。
それでも、モバイルのChromeが拡張機能ストアのサポートを始めるとかいう話もあったり、モバイルEdgeの正式版もβ機能として拡張機能のサポートを始めたりしています。これらは野良拡張機能を導入できるかは判らないのですが、将来の見通しは決して暗いものではないと思っています。
特に、上記スレッドを書き始めたころはiOSは対象外だと思っていたのですが、そちらも特定のブラウザを使う事で拡張機能を使用することが可能になることが判りました。ぜひ色々なブラウザで拡張機能が使えるようになればと思っています。
ここで述べた事以外でも、拡張機能で実現できることは色々考えられます。例えば、作品の参照履歴、Cookieに記録しているので、30作品しか保存されません。また、複数のデバイスでの履歴の同期は取れません。
拡張機能を使えば、複数のデバイスで履歴の同期が取れたり、30件をはるかに超える数の履歴を保存出来たり、さらには、いつどの小説のどの部分を読んでいた、という完全な記録を保存出来たり、するかもしれません。
画面のデザインを変えていくようなことも得意分野です。なろうの専ブラが無い現在、拡張機能を導入することで少しでも読みやすくできればいいなと思います。
また、作者向けの拡張機能も、色々と考えられることはあるのですが……
ということで、拡張機能の可能性の一端でも触れていただければ、幸いです。