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ほわほわ
ほわほわほわ。
風にのって
ほわほわほわ。
今日もあたいは、空気を感じるの。
空気は時々、強くて荒々しい嵐にもなるし、冷たい雪のようにひんやりと冷たくもなる。
でもあたいが好きなのは、清らかな森の香り。
その香りを追いかけて、
あたいはひとり、歩き出すの。
荷物はすぐに整ったわ。
だってあたいの荷物は、お気に入りの空気だけだから。
それを胸に抱えて、いつでも吸えるようにしているの。
でも、森の香りだけは、どうしてもつかまえられない。
不思議ね、どうしてかな。
でも今日も、どこかで森の香りがあたいを呼んでいる。
少しずつ、その香りが近づいてくる。
あ、あの人だ。
森だけじゃない。
森の中に、ひそやかな清流が流れているような香り。
だめ。誰かがドアを開ける音がする。
あたいはその人に会う直前で、どこか遠くに飛ばされてしまった。
ああ、会いたいな。あの香りに、もう一度。
次の風が来るまで、あたいは待っているわ。