手を握って…。 vol.096 「林ちゃん、あんた…、ここで働いてみねぇか。」
元々木乃美は通訳の仕事で日本の外資系企業に、
1年毎の契約社員として在籍していた。
日本国名での杉田木乃美、
この頃はまだ台湾名、林美玲と名乗っている。
そんな中、在籍していた外資系企業がフレックス制を導入。
それが切っ掛けで木乃美としては、
仕事以外にも自分の時間を自由に取れることが出来るようになった。
以前から日本贔屓の木乃美であった。
日本の文化に触れたくてあちらこちらに出掛けては日本の雰囲気を味わっていた。
そしてある日、ふと訪れたお店の主と会話をしながら、その店が好きになった。
それがベルモンドの小坂洋造である。
洋造も日々店に通ってくれる林を可愛いがるようになり、
やがて、林から仕事以外にもアルバイトをしたいとの話しを持ち出されたのだった。
考えた末に、
「林ちゃん、あんた…、ここで働いてみねぇか。」
と、ドリンクを飲んでいる林に洋造。
すると林、そんな洋造に目をパチクリさせ、声を大にして、
「いいの!!!」
そんな驚いた林の顔を見て洋造、
「いいも、なにも。林ちゃんが、働きたいんなら、おじちゃん、応援するけど~~。」
「やるやるやるやるやる~~。」
「けけけけ。…んじゃ、決まりだな~~。」
しかも、その頃、ベルモンドの常連客でもあった、
ある雑誌社の編集長をしていた杉田春樹も、
いつも店に通っていた林が、突然店でのアルバイトをしているのを見て、
「はぁ~あ???林ちゃん…、ベルモンドでアルバイト~~???」
洋造、
「どうでぃ、中々、サマになってんだろ、春樹~~。おめぇ~、惚れんなよ~。」
それからの経緯は良く分からないが、いつしか林が春樹を見る目が…どうやら…。
痺れを切らした洋造が、林の背中を押したのだった。
「帆香も2年生になったんだね~~。」
與門。
木乃美、
「ん~~。」
亜季、
「友達も…いっぱい出来たんじゃないの~~。」
「結構~~、人気者だったりしてね~~。綾香も中々可愛いの着てるじゃない~~。ねぇ~~。」
綾香の頭を撫でながら夕美子。
「これが着たくって、着たくって、朝からた~いへん。みんなに見せるんだって、もぅ~、うるさい、うるさい。」
木乃美。