手を握って…。 vol.092 「世間様にご挨拶するパーティ。」
「多分…、これからも…素敵なお付き合いになるかと…。」
笑顔で由香里。
「えぇ。是非そうお願いしたくって…。」
ルイ。
洋造、和弘、封筒の中からカードを出して見て、
「パーティ…の招待状…。」
「えぇ。日本に来て、初めて、麻布セントラルムード、世間様にご挨拶するパーティ。」
洋造と和弘を交互に見ながら由香里。
「そのパーティに、是非、マスターと高梨さん。お迎えしたいの…。」
ルイ。
和弘、
「マーラさん…。」
「雑誌ブリリアントを紹介してくれたご縁です。夕美子ならやってくれるって…、先日、彼女の顔を見て確信しました…から。」
由香里。
洋造、
「ありがとう、ございます。…ただ…。」
そう言って頭を掻きながら洋造、
「こ~んな老いぼれが、こんな…豪華なパーティに…。とても、とても…。恥ずかしい限りで…。」
「…と、思うでしょ。でも…、マスタ~~。もしかしたら…かな~り…勘違い…されているかと…。」
ルイを見ながら由香里。
「えっ、え~~???」
洋造。
「至ってリラックスできるパーティです。そんな…豪華なんてやってたら、逆にこっちの方が疲れちゃう。ご心配なく、もの~すごい、カジュアルですから…。ふふ。」
洋造と和弘、
「へっ…???」
そして、和弘の作った料理を食べながら由香里、
「うんうん。おいっしい~~。これ…高梨さん…???料理…上手~~。」
「うんうん。もしかしたら…私…日本で食べたので、ここ、3本指に入るかな~~。」
ルイ。
「いやいや…そんな…。褒めすぎですよ、おふたりで…。」
照れながら和弘。
ドアが開いて、
「うん。まぁ~一年に一度だからね~。」
與門。
「そっか~~帆香の誕生日か~。私も…ご無沙汰してるもんね~。」
夕美子。
そしてふたり揃って、カウンターに顔を向けて、
「おじちゃ…。…ん…???」
洋造、
「おぅ~、いいとこに来た~~。」
「こんばん…。」
夕美子。
その声に目の前の女性ふたり、後ろを向いて、
「んふ…、夕~美子~~。今晩は~~。先日はどうも~~。」
右手を振りながら由香里。
その隣でにこやかにお辞儀をする女性、
「今晩は。初めてお目に掛かります。ルイ・マーラと申します。」
夕美子、
「う~わ、ビックリ~~。来てたんだ~~。」
隣で與門、
「こんばんは…って…、夕美子…???」
カウンターの中で和弘、
「凄い。與門さんがふたりいるみたいだ。」
残念ながら、その和弘の声はバックで流れるBGMが被り、夕美子たちには聞こえない。




