手を握って…。 vol.089 「デスク…、これって…、一体…???」
カメラマンの掛川修作と読者モデルを交互に見ながら…。
そして、腕組みで見ている夕美子の右二の腕を人差し指で、
「デスク…、これって…、一体…???…ここまで…???」
小声で心。
夕美子、そんな心に、顔を2、3度、頷かせて腕組みしたままで、
「うん、ここまで…、出来るんだ~~。いやはやビックリだね~~。亜須香ちゃんって…。こんなポーズ…出来る読モだったっけ…???」
心、
「ううん…。私も初めて…。」
「それに…亜須香ちゃんの…この…表情…???」
夕美子。
修作が向けるカメラ、そしてそのカメラに向けられる読者モデルの凪亜須香、
そのふたりの風景は、その周囲のスタッフも茫然とするほどの圧巻された撮影風景と化していた。
もはや心のリクエストよりも、修作のカメラのリードが亜須香の雰囲気を完成させていた。
夕美子と心から離れた場所で撮影風景を見守っていた健之、
腕組みしながらゆっくりと夕美子の後ろに近づき、ポツリと夕美子の頭の後ろに。
「やられ…ました。ははは。」
その健之の声に、前を向いたままで夕美子、
「掛川…修作。…彼って…???」
「超一流。多分、まずこの桜華に、彼ほどのカメラマンは…ふたりと…いない。」
「モデル潰し…どころか…。」
「…その…反対…。」
「噂の女癖って…???」
「つまりは…、彼に認められないモデルの自暴自棄かと…。」
「ふぅ…。こんな感じかな~~。いいんじゃない…???ねぇ~ブリリアントさん…。」
その修作の声に心、
「ありがとうございました。凄い~~。ありがとうございました~。」
修作に深々とお辞儀をする心。
「この子…、伸びるね~~。いいよ~~。…んじゃ、俺は…、この辺で…。」
健之に手で合図をして、その場から2、3歩。
夕美子、
「ありがとうございました。お蔭様で助かりました。」
心同様に深々とお辞儀をして。
「いい子いるじゃん、ブリリアントさん。」
ニヤリと笑って夕美子に右手指をヒラヒラとさせて、
「んじゃ、お世話様~~。」
健之、そんな修作の肩を抱きながら。そして、
「新條さん、心ちゃん。」
ふたりに手で合図して微笑みを投げて、
「また…。」
そんな健之に笑顔でにっこりと、夕美子、
「うん。ありがと。助かった~。またね…。」
心、亜須香に駆け寄り、
「亜須香ちゃ~ん。凄~~い。」




