手を握って…。 vol.081 「ワコウ~。ありがとな。」
「すげっ。清川建設の…、常務執行役員。めちゃくちゃ大手の建設会社。」
信玄。
和弘、
「うんうん。国内でもかなりの大手だ。」
「…とは言え…、今はニュージーランドのオークランドに出張中…。まぁ…。昔から身体…鍛えての建設会社に入って、上から認められ続けての今の地位…だけどね。」
健之。
「へぇ~~。凄いんだぁ~デスク~。」
若。
「わっ。やばっ。もう…こんな時間。」
腕時計を見て夕美子。
「おっと…。私も…。幾ら話の分かる姑とは言え…。やばい、やばい。子供…任せっきりだ。」
杏美。
「えっ…、杏美さん…???」
健之。
「ふん。杏美さん。この中は2人目で~す。」
若。
その声に夕美子、信玄、
「わっ。」
そして杏美、そんな夕美子と信玄の前に口に一本指を立てて…。
そんな杏美を見て、夕美子、信玄、頭を数回、コクリ。
「さてと。では…、帰りますか…。あっ。新條さん、途中まで、送ります。」
健之。
夕美子、
「あっ、いやいや…そんな…。」
とは言ったものの、杏美と若。しっかりと口一文字にニッコリと夕美子の顔を見て、
「あ…、ははは…。」
と変顔をして…、
「…ですよね~~。」
杏美、若。
「は~い~~。では…、デスク~。信玄君も一緒なら、まず大丈夫よね~~。新條デスク~~。」
夕美子、
「お気遣い…、痛み入ります。甘えさせて戴きます。」
杏美と若にぺこりと…。
「じゃ…ワコウちゃん。」
和弘、
「えぇ、気を付けて、お帰り下さい。手当、わざわざありがとうございました。」
店の玄関に向かう5人。
夕美子、
「おじちゃん、ありがと。」
洋造、
「おぅ、済んだか、気を付けてな。あっ、矢萩さん。」
健之、
「はい。分かってます。」
洋造にお辞儀をして…。
洋造、
「ありがとな。…怪我させて申し訳ない。けど…、箱入り娘、頼むわ。」
「駅まで、ご一緒させて戴きます。」
「すまねぇ。」
カウンターに入ってきた和弘、
「洋造さん、すみません。」
洋造、
「ん~~何が~~。」
「いきなり飛び出して行って…。」
「けけけ。俺ぁ、言ったはずだぜ~。」
「えっ…???」
「観客席で、観させてもらうってな~~。」
その声に和弘、
「はい…???」
「まぁ~なんだ…。早く、その傷、治さなぁ…。お客さんに見せらんねぇなぁ。」
「はい。」
恐縮する和弘。
そして少し沈黙の後に、カクテルを作りながら、
「ワコウ~。ありがとな。」
和弘、
「はい…???…あっ。えぇ…。いや…。はい。…ども…。」




