手を握って…。 vol.080 「いやいや…。参ったな…、こりゃ。」
「いやいや…。参ったな…、こりゃ。」
そう言いながら、説明するよりは…と言う感じもあり、
スマホをポケットから取り出し…。家族写真を見せる健之。
そしてその画像に注目する面々。
健之、
「まぁ~。自慢もなにも…ないけどね~~。」
「う~~っわ、かっこいいお父さ~ん。」
若。
「うんうん。それに…お姉さんも綺麗~~。へぇ~。」
杏美。
そして健之の手からスマホをスルリと若。
「ええ、若ちゃん…???」
夕美子。
「いやいや、構わないよ新條さん。別に変な画像はないから…。」
健之。
「ぷっ。変な画像って…???」
そんな夕美子をチラリと見て杏美。そしてそのままスマホの画像を…。
「わっ。この人…、デスクのお母さん…???」
健之、
「あぁ…。」
「…えっ…。でも…、これって…、もしかして…、病室…???」
若。
夕美子、
「…ん…???」
「矢萩デスク…???」
信玄。
「あぁ…。うん。今…ちょっと…、ある病状で…、入院してる。」
その声を聞いた途端に若、いきなり画像をスワイプして、
「ご…、ごめんなさい。…でも、デスクの家族って、カッコ良くって、綺麗なお姉さんとお母さんですね~~。」
健之、
「ま~た、またまたまた。普通だよ~~。」
「だって、お父さんなんて空手、黒帯だし…。」
そして一呼吸置いて若、
「…ん…???…いや…、でも、その割に、お姉さんとお母さんに頭が上がらないって…、デスク…???」
そしてまた一呼吸置いて、
「デスク~~。女性に優しい…とか…。くくく。」
面々の顔を見ながら健之、
「ん…まぁ…。僕と親父が外なら、女性陣は…、家事もう…完璧だから…。」
「ふふ~ん…。な~るほどね~~くく。」
杏美。
「じゃ、じゃあ~。今…、お母さん…入院してて…???」
夕美子。
「家事は万事、姉が切り盛りしてる。こちらもおふくろ同様、完璧。でも…、元々姉は…化粧品会社で働いてたけど…。」
健之。
目を真ん丸くして夕美子、
「け…、化粧品会社…???わお。」
そこで初めて健之、
「あっ。」
口をすぼめて杏美、
「綺麗なはずだわ…。」
若、
「ふ~~ん。」
そして上目遣いで健之を見て…。
「いやいや…、若ちゃんのその目には…どうしようもないねぇ…。」
杏美、
「ふふ…、中々出来た妹って感じでしょ。」
健之、
「かかか。そう…みたいだね~。」
そう言いながら若の頭をコツンと。
若、
「へへへ。」
「僕のおふくろ…。今…、結核で入院してる。某…大学病院で…。」
面々、
「結核…。」
「あぁ…。そして親父は…。清川建設の…、常務執行役員。」




