「矢萩さん、ワコウちゃん。ありがと。」
数秒後、
「おじちゃん…、ごめんね…。心配掛けて…。」
そんな夕美子に洋造、
「ふっ。大丈夫か…。」
「うん。」
そして、健之と和弘の顔を見て、また少し目を潤ませて。
「矢萩さん、ワコウちゃん。ありがと。」
そして、
「ほっぺ…大丈夫…???」
グスリとさせながら夕美子、潤ませた目のままで…。
健之、
「えっ???」
和弘も…、
「あっ…???」
ふたりとも、左唇の端に怪我をしている。
健之、
「正直…少しは…。」
和弘、
「はは…、僕も…同じです。」
夕美子、
「ごめんね。迷惑掛けちゃって…。そして…。助けてくれて、ありがと。」
「それに…しても…。」
信玄、
「矢萩デスクも、ワコウさんも…、強ぇ~~。」
洋造、
「ん~~???」
「うんうん。私も見た。」
杏美。
「ふたりとも…。何か…やってたの…???」
「うんうん。凄かった。」
今度は若。
洋造、
「矢萩さん…???ワコウ…???」
「あっ、いや…、それ…ほど…でも…。」
頭を掻きながら健之。
和弘も照れながら…、
「あ…、あ~~。」
周りの客もさっきまで少しざわめいていたが、落ち着いている。
夕美子も少し落ち着いたようで、
「ワコウちゃん…。…矢萩さん…???」
客が、
「すみませ~ん。」
メニューをかざして。
「あっ、はい。ただいま。」
そう言い掛けてその場を離れようとする和弘。
洋造、
「ワコウ…、おめぇ、ここにいな。」
そう言いながら和弘の左肩を撫でて、
「矢萩さんと一緒…、夕美子の傍にいてやんな。」
「えっ…???」
「けけけけ。勘違いすんな。そんな怪我した顔じゃ、お客さん、恐がるだろ。」
その洋造の声に、思わず和弘、変顔。
「えっ…???」
その途端、夕美子、
「ぷっ。」
「えっ…???そんな…怪我してる…???」
和弘。
夕美子、
「うん。さっきより、更に色…濃くなってる。まぁ…、でも…、部分的…、だけど…。」
「うそ、うそ。」
杏美。
「あ~~。ほんとだ~。」
「えっ。えええ。…じゃ、矢萩デスク…???」
そう言いながら、今度は若、夕美子が座っている、椅子の後ろに回って。
「わっ、ほんとだ~~。」
夕美子、椅子から立ち上がり。
客からのオーダーを受けて、カウンターの中に戻っている洋造に、
「おじちゃん、ちょっと中、借りるね。」
カウンターの中で洋造。
「おぅ。…あるとこ…、分かるな。」
夕美子、
「うん。…ワコウちゃん。矢萩さん。…ちょっと来て。」




