手を握って…。 vol.076 健之、和弘、お互いの顔を見ながら…、「くっ。」「ぷっ。」
右二の腕を痛めて左手で押さえる背の高い男性。
そしてようやく立ち上がる背の低い男性。
「ちっ。なんだってんだい。おぃ。」
背の低い男性に声を掛けて、
「行くぞ。」
右頬を押さえる背の低い男性、
「痛ってぇ~~。なんなんだこいつ。」
後ろに振り返る男性ふたり、
「…ったくよぅ。」
そんなふたりの男性を見ながら健之、左頬の中を舌で、
「痛ってぇ~~。」
和弘も…、左頬を左手で撫でて、
「ふぅ~~。あた~~。」
後ろで見ていた夕美子、目をパチクリさせて…。
そしてその後方、店から出て来ていた信玄と杏美、そして若、
「えっ…???今…、の…、何…???」
健之、まだ口の中で舌を…。
そして、
「おえ~~。切れた…な…。」
和弘、
「わお。左手…痛って~~。」
そして健之、和弘、お互いの顔を見ながら…、
「くっ。」
「ぷっ。」
和弘、
「矢萩さん…強いっすね~~。ははは。」
健之、
「高梨君~~。や~るね~~。」
「いやいや…、とんでもないっす…よ、あれ…???」
健之、
「ん…???」
そしてふたり共、後ろを振り向いて、同時に、
「新條さん!!!」
茫然としている夕美子。両膝を地面に付けて…。
何やら頬を濡らして…。
健之、
「新條さん…。」
和弘も、
「新條さん…。」
そしてふたり、夕美子の傍まで、
「だい…じょうぶ…???怪我…???」
震える体でゆっくりと…。完全に脚に来ている。両腕をアンバランスに広げて…。
「おっと。」
健之、夕美子の左手を取って、そして右手を、
「わっ。」
と言いながら和弘。
その瞬間、思わず安心したのか夕美子、体を前に…、目を閉じて倒れる…。
それを健之の左肩と和弘の右肩で受け止めて。
いきなり身体の力を失う夕美子。そして、それがホンの数秒。
意識を取り戻す夕美子、
「あっ…。あっ。…ごめんなさい。」
目と鼻を赤くして、鼻水を啜りながら、
「あ…、ありがとう…。」
「脚…、だい…じょうぶ…???」
健之。
夕美子…、
「う…うん。」
けれどもまだ、体に力が入らない。
「新條さん…、お店…。」
和弘。
店の前の3人に近づき、
「デスク…。」
信玄。
「新條…デスク…。」
若。
「夕美子さん…。」
杏美。
店の中に…。
洋造、
「夕美…どした~???」
いきなりカウンターから出て、健之と和弘から夕美子の体を…、
そしてボックス席に。
「とにかく、ここで少し休め。」
夕美子、
「うん…、ありがと、おじちゃん。」
そして和弘からグラスの水を受け取り、それを喉に流し込み。
そして頭を後ろにだらりと…、そして今度は前に…。
「ふぅ…。」




