手を握って…。 vol.074 「今夜はここで私は…お邪魔~~。」
「でね…。」
楽しそうに由香里との数時間前の再会の事を話し出す夕美子。
その話を聞きながら杏美、
「縁と言うのは…、凄いよね~~。夕美子さん…知ってる…???」
食べて飲んで、少しいつもより気分が良い夕美子、
「うん…???」
「その茂木由香里さん…。棚部真理恵の娘でしょ。MARIE TANABE Marriyellの代表取締役社長の…???」
「うん。そう…だけ…。」
少し考えて…、
「あ――――――――っ。そう言えば…、ソフィア!!!」
その声に杏美、
「ふふ。そう…、ウチ…マリエールのブランドの…、スープル…、クライアントなのよ…。担当してる…。しかも…、数回…。最初は美崎さん。そして五月さんと…。」
上目遣いで思い出しながら…、
「私…。…で、次に今回…。」
「奈賀ちゃんと…。」
健之。
「うんうん。そうそう。」
夕美子、
「そっか~~。うん。お互いに、いい仕事出来ると良いね。さて…と。今夜はここで私は…お邪魔~~。」
バッグから財布を出しながら、
「おじちゃんとワコウちゃんに、報告がてらだったからね~。今週、私が朝食担当で…。」
信玄、
「デスク…、帰っちゃいますか…???」
「けけ。倫ちゃん、元気かい。」
洋造。
「おかげさまで…。姉よりしっかり者です。ははは。」
「とも…ちゃん…???」
和弘、健之。
「夕美子の弟でぃ。」
和弘、健之、
「へぇ~~。」
「あんたはゆっくりと食べてな~。じゃね~~。」
「あ~~。ちょっと…、デスク~。待って下さいよ~。僕が残れる…訳ないじゃないですか~~。おじさん、ワコウさん。ご馳走様~~。」
信玄。
洋造、
「あいよ。またな。気ぃつけてな。」
和弘、
「行ってらっしゃい。」
既に歩いている夕美子。
「デスク、待って下さいよ~~。」
そんな信玄に振り向いて、
「ゆっ…。」
少し夕美子の体が揺れた…かな…と、思ったその瞬間、
硬い肩にドン。
その瞬間、
「痛ってぇなぁ~~。どこ見て歩いてん…。」
信玄のわずかに5メートル程前…。
夕美子、
「あっ、すみません…。」
1メートル80センチ以上はある男性。しかもかなりガッチリタイプの男性。
派手だがしっかりしたスーツ。
「ん~~。勝手にぶつかっておきながらその程度かぃ。え~~。」
いきなり夕美子の二の腕を掴みながら…。
夕美子、
「すみません。ごめんなさい。」
男性、
「へぇ~~。こりゃ、ちょいと…。」
そして隣にいる背の低い男性に、
「おぃ。」
その男性もにやりとして、
「えぇ。」
信玄、いきなり顔面蒼白になり、
「えっ、ええええ。ちょっ…。ちょっ。」
男性、
「ちょっと来な。」




