手を握って…。 vol.072 若の左耳に、「イケメンね~。」
「こんにちは~~。」
そう言ってベルモンドに入ってきたのが杏美である。
しかも若から手を引かれて。
そして、その後ろに健之。
「小坂さん…、お久し振りです~~。」
杏美。
洋造、
「けけけけ。まっ。随分見ない間に、またまたベッピンさんになっちゃったんじゃないのぉ~杏美ちゃん。旦那さん。その後どう。元気…???」
スツールに身を置きながら、
「はい。お蔭様で…。」
照れながら杏美、
「…と、言っても、ただいま、2週間、中国に出張中~~。」
「おやおや。」
「…で、今日は何故かしら…、うちの編集者、どなたもプライベートで忙しいらしくって…。」
「おやおや…それで…。」
「はい。…で、若に引っ張られて参りしました~と…。…で…。ん…???」
洋造の隣にカウンターに入ってきた男性の顔を見て…。
「小坂さん…???」
洋造、
「あ~こいつか…。うちで面倒を見る事になった、ワコウってんで。よろしく。」
「ワコウ…???」
「ベルモンドの新しい料理見習いの高梨和弘さん。物凄い、料理美味しいのぉ~。」
ニコニコと若。
和弘、
「初めまして。高梨と言います。」
杏美、ペコリとお辞儀して若の左耳に、
「イケメンね~。」
囁く。
若、
「ふふ…。でしょう~~。」
そして…、
「ねね、杏美さんのここも、イケメンで産まれてきて欲しいですよね~~。」
その若の声に、健之、そして洋造と和弘も…、
「えっ…???」
洋造、
「なんとまあ~~。杏美ちゃ~~ん。こりゃこりゃ、おめでたかい~~。」
杏美、いきなり、
「もう~~若~~。」
若、
「へへへへ。」
「へぇ~~。何か…。いや…、って~事は…3ヶ月って~ところか…。」
にこにこしながら洋造。
「はい。3ヶ月目に入りました。」
笑顔で杏美。
「そっか~~。そうだったんだぁ~。全く気付きませんでした…僕は…。」
健之。
「いや…、気付くはずない…かも…。分かったの…つい一昨日だから…。」
照れながら杏美。
「わお。なんとまぁ…。」
「しかも、まだ編集長と若しか知らないから。」
「かかか。…って~事は…若ちゃん、みんなに可愛がられてるね~~。」
笑いながら洋造。
にこにこしながら若、
「はい。」
そして注文したメニューを食べて杏美、
「ん~~。スゴッ。本当に美味しい~。へぇ~~。」
若、
「でしょう~~。」
そして数分後には若のメニュー、そして最後に健之にメニュー。
「わぁ。デスク…、小食~~。」
思わず杏美。
健之、
「ははは。また…説明しなきゃ…。」
そしてまたドアが開く。
洋造、
「おぅ。どうだった~~???」