手を握って…。 vol.071 「Ms floral(ミズ・フローラル)」
5年と言う歳月の中で由香里は、ヒサコから紹介されてある男性と結婚している。
ヒサコの理解者のひとり、茂木悠宇パタンナーである。
そして、ニューヨークで立ち上げたファッションメーカー、「セントラル・ムード」立ち上げ早々、
ニューヨーカーから絶大なる支持を得る事になる。
その中でもブランドとなる、「セントラル・ムード」は、販売からわずか一週間で完売になる有様。
そしていつしかその人気が海外を渡り、
遂に6年目にして日本上陸となった訳である。その際にアメリカから日本に戻り、
ファッションメーカー、「セントラル・ムード」として立ち上げた会社が、
麻布セントラル・ムードである。
ニューヨークでは話題沸騰となったブランドの、「セントラル・ムード」と共に、
日本では、日本人に受け入れやすいファッションをとイメージされたブランドが、
「Ms floral」
このブランドでモデル、そしてファッションデザイナーとして、
またマーケティングまでも熟すとされる人物が、ヒサコの娘でもある、ルイ・マーラ(麻亜羅瑠偉)である。
「まさか…。そんな過去があったなんて…。いやはや…凄い。」
夕美子。
「ふふ~ん。」
由香里。
「あ…の…、由香里がね~~。」
「…って、まだ言うか、夕美子~~。」
「かかか。ごめん、ごめん。」
「な~んだか…凄い縁だよね~~。與門からMs floralって聞いてピンと来なかったけど…。たちまち完売なんて凄いよね~~。」
「でも…、まだまだ日本ではこれから。まだ産声挙げたばっかりだし。…確かに、ネットでは注目は…集めていると思うけど…。それだけじゃ~~。」
「そうだよね~~。ふと、目に留まる場所に、そのものがあると言うイメージも大切だもんね~~。」
「だから…。ルイと一緒に探してたの。」
「なんだか、その…、ヒサコ・マーラにも…会いたくなってきたよね~。ねっ、信玄。」
信玄、
「……。」
「あんた。何さっきからデレーっとしてんのよ。」
その夕美子の声に信玄、
「はい!!!…あっ。…すみません。」
由香里、
「くくく。面白~い、上杉君だっけ…。今後とも、よろしく。」
「あ~~。はい。こちらこそ。よろしくお願いします。」
上ずりがちの声で信玄。
「かっかっかっか。ほら、シャキッとして、信玄。」
信玄の背中をドンと叩く夕美子。
「はい~~。」
くすくすと笑う由香里。
「じゃ、頼むよ夕美子~~。」
「うん。分かった。任せて。」
ベルモンドのドアが開いて、洋造、
「はい。いらっしゃ…。おや…。こりゃこりゃ、またまた…。」




