手を握って…。 vol.069 チーフディレクター、茂木由香里。
「だって、自分だって、大学時代は冴えなかったって分かってるもの。勉強そっちのけで…。絵ばっかり描いてたもんね~~。」
由香里。
「あ…、あの…。」
何かしら、全く存在感がなくなっていた信玄。
「あっ。ごめんなさい。」
笑顔で由香里。
「いきなり8年振りで再会して、思わず、テンション上がったわ。」
「そうだよね~~。それくらい…、なるよね~~。全く…、大学時代のあなたは何処へやら。」
夕美子。
「何だか…、編集長に…、似てる。」
ポツリと信玄。
「あっ、そっか~~。…そう言えば…、與門に似てる。…って…、ワコウちゃん、言ってたわ。うん、うん。言われてみれば。…中々どうして~~。出来る女って感じ。うん。」
腕組みしながら夕美子。
「初めてお目に掛かります。麻布セントラル・ムード、レディース部門のチーフディレクターをさせて頂いている茂木由香里と申します。」
丁寧に信玄に挨拶をして。
「桜華の編集局、ブリリアントの上杉信玄と申します。」
こちらも丁寧に由香里に挨拶をして。
その瞬間、由香里、
「えっ…???」
夕美子、
「あ~~、いい、いい。由香里。名前、そのまま受け止めて。はは、素敵な名前でしょ。滅多やたらにいないわよ、うん。」
「うん、うん。確かに。凄い名前。」
「それにしても…。」
夕美子。腕組みしながら…。
「…ん…???私…???」
由香里。
「何が…、どうなったら、そうなる…???」
「ふ~~ん。…まっ、好きな絵が…講じて…、こうなった…。…ってね~~。大学卒業してから、日本脱出しちゃったから…。」
と言いながら、舌をペロリ。
夕美子、
「はぁ~あ…???」
この茂木由香里、ファッションデザイナーの棚部真理恵を母に持ち、
そして姉が棚部優理香である。
事実上、母親の後継として今もファッション界で活躍している。
そしてこのふたりの女性を娘として持つ父親が、
棚部真理恵の夫である棚部賢也、
「MARIE TANABE Marriyell」の副社長である。
元々棚部真理恵のマネージャー的存在が、
時を経て真理恵との結婚を機に「MARIE TANABE Marriyell」を立ち上げている。
そして、この茂木由香里が、後々、與門煌と共に、
夕美子には深い関わりとなっていく人物でもある。
チーフディレクター、茂木由香里。




