手を握って…。 vol.059 「苛めて…いいの…、美紅~~???」
真ん丸い目をして信玄、
「へ…編集長…。」
そんな信玄の顔を見て與門、
「…ん…???どした~~???」
信玄…、
「あっ…、いや…。」
口をすぼめて息を吸い込むように…。
「くくく。夕美子に絞られろ~~。美紅~~。いいねぇ~。信玄、ちょい、借りるよ~~。」
美紅、
「あ~~い。しっかりと…、苛めちゃってくださ~い。」
その美紅の声を聞いて夕美子、
「苛めて…いいの…、美紅~~???」
そう言いながら両手を組んでポキポキと…。
…のつもりが…、
「あれ…、鳴らない…。」
そんな夕美子を見ていた亜季、
「かかかか。」
信玄、
「…お手柔らかに……。」
「あたしより…、厳しいかんね~~。姉貴殿は~~。」
美紅。
「そんな…。今から…プレッシャー掛けないでよ…、美紅さん…。」
「初めてのクライアント。しかも、産声を上げたばかりだからね~~。ヒアリングから慎重に行くよ~~。」
夕美子。
「心~~、AMOUR…???」
與門。
「は~い。順調にゲラ…上がってますよ~~。」
心。
そこへ、
「戻りました~~。」
真奈香。やたらとにこにこと。しかも康太と腕組んで。
「可愛いやっちゃ~、こんちくしょう~。かかか。」
一同、
「はぁ~~あ???」
「あっ、デスク…、そこ…左です。」
奈賀。
健之、
「おぅ。」
そして100メートル程走って…。広い敷地のビルディング。
「へぇ~~。かなりスケール大きいですよね~。」
「うん。ここに、これから行くsoupleのオフィスがこのビルにあるの。さっき広報宣伝の生垣さんから連絡があって、予定が変更になって、時間…長く作ってくれたみたい。」
奈賀。
「へぇ~~NICEだね~~。…っと…、しっかし…広いね~~。それに、新しいし…。」
「うん。出来て間もないからね~。」
車から降りてビルの中に。
そして、
「おやおや、いろんな企業がズラリ…。」
健之。
「うん。凄いよここ。まだ埋まってないフロアもあるくらいだから…、その内…。」
奈賀。
「正に…デラックス。そしてボリューム感…あるよね~~。ふ~ん、スゲ。」
そう言いながら口をへの字にして、両肘を曲げて両手を胸まで上げる健之。
そんな健之を見て奈賀、
「ぷっ。」
「…ん…???」
「いえ…。」
歩きながら、
「デスクって、結構……。いやいや…。どっちかって言うと…。フットワーク、軽いんですね~~。」
「はい…???それって…褒めてんの…???…それとも…???」
「いえいえ…。決して…。はい。実に…ユーモア感…あります。はは。」
そしてビルのインフォメーションプレートを見て…。
奈賀、
「12階ですよ。」
健之、
「うん。…と、あれ…???」




