手を握って…。 vol.057 「分かり易~~~。くくく。」
「ふ~~ん。麻布…セントラル、ムード…???」
アイロン掛けをしながら與門。
「初めて聞く名前ね。」
そう言いながらアイロンを元に戻し、テーブルの自分のノートパソコンで…。
「あっ、あった。ふんふんふん。」
通りを歩きながら夕美子、
「もう…今頃はおじちゃん、その…茂木さんとコンタクト取ってるかも…。だから、その内、そっちにも連絡…行くと思うから…。」
「OK。分かった。…んじゃ、明日。」
夕美子、
「おぅ。んじゃ、おやすみ~~。」
「…っと~~。あれ…???美希…???…何やってるあの子…???」
そして、早瀬の書斎のドアを開き、
「ま~~ったく~。」
リクライニングでヘッドホンをしながら眠っている早瀬。
その上ですやすやと眠っている美希。
「パパも…。もぅ~~。」
と、言いながら、
「何…聴いてる…???」
早瀬の頭からヘッドホンを外して自分の右耳に…。
すると、
「ふ~~ん…。まっ、こりゃ…寝ちゃうか…。」
そして早瀬のホッペを指でツンツンと。
「…ん…???…」
目を開ける早瀬。煌の顔を見て、そして煌の指を見て、
「…ん…???かかか。おぅおぅ。さ…て…と。美希~。ははは。」
ゆっくりと美希を両手で抱えて一度煌に。
そしてリクライニングから起きて、煌から美希を受け取って、
「さっ、ママにおやすみだ。」
煌、美希のホッペにチュッと。
そして早瀬も、
「先に寝るわ。」
そう言いながら煌の唇にチュッと。
煌、
「うん。おやすみ。」
廊下で話しながら夕美子と美紅。
夕美子、
「ほ~ら見ろ。矢部君で正解。」
美紅、
「うんうん。さすがは姉貴殿。」
「ば~か。でも…さすがだね~。良く撮れてるわ、これ…。」
「でしょう~~。」
写真を見ながら…。
その前方から、
「お疲れ様、新條デスク~。」
その声に夕美子と美紅、
「…ん…???あっ。おつか…。」
健之と、その健之の隣で笑顔で、
「お疲れ様で~す。」
奈賀。ちらりと健之の顔を見て、夕美子と美紅の顔を見て。
夕美子と美紅、
「ど~も~~。」
お互いに挨拶をしながらも、すれ違ってすぐに、夕美子、
「あっ。」
そして健之も、
「あっ。」
お互いに振り返って。
夕美子、
「あっ。あっ、いえ…。お疲れ様です。」
そんな夕美子に健之も、
「…ん…???あっ。あ~~。はい。お疲れ様です。うん。では…。」
そのリアクションを見ていた美紅、そして奈賀…、
「はい…???」
美紅、夕美子に、
「なに…???」
奈賀、健之に、
「デスク…???」
夕美子、健之、お互いに相手に聞こえないように、
「んんん。何でもない。うん。」
奈賀、首を傾げて…。
美紅は思わずクスリと。夕美子の左肘を…、ツンと。
夕美子、
「???なに…???」
美紅、思わず右手をひらひらと振る。
そして小声で、
「分かり易~~~。くくく。」