手を握って…。 vol.004 「夕美子のやり方次第。」
「おはようございます。お疲れ様です編集長。亜季で~す。…今、デスクから電話がありました~。」
亜季。
ホテルの窓から大阪の景色を観ながら與門、
「うんうん。うんうん…。そっ。分かった。な~るほどね~。かかか。確かに、朝からリッチだね~~。」
「でも…、編集長~。デスクの事ですから、何やりだすか…。」
クスクスと笑いながら亜季。
「まぁ~~。その辺は…。夕美子のやり方次第。…もしかして…、高速で、牧田の車…止めたりして…。」
「…そりゃ…無理でしょ。幾らなんでも…。警察…黙ってないし…。」
「ふふ。まっ。今回、牧田、取らないと、6月号…。やるっきゃないからね~~。」
亜季、
「あ~い。ではでは、明日のご帰還…、お待ちしておりま~す。」
與門、
「おぅ。」
「おみやげ…待ってま~す。…へへ。」
小さな声で。
「こんにゃろめ。ふふ…。」
女性誌出版会社「桜華」立ち上げ以来、1年3ヶ月。
半年頃から、いよいよ本格的な戦力発揮。
しかも、その中でも、ブランド雑誌「brilliant」は、
数回の重版出来を実現している。
ブランド「brilliant」の要とも言われる人物が、
編集長の與門煌。
その下に編集部デスクの新條夕美子。
そのデスクの下に編集者の小曾根亜季。
副嶋真奈香、雪心、澤木美紅、
そして男性編集者の、衣川康太、
上杉信玄が在籍している。
女性、男性いずれも、経歴は、他所の出版会社からの転職である。
タクシーの運転手、
「お客さ~ん、見ての通り。お手上げですわ~。」
夕美子、
「そこ、左。」
スマホを左耳に…。
「えっ。新宿じゃ~???」
「進路変更。」
「…いや…、進路変更って…???」
「このまま、成田に行く。」
そして、一旦スマホを耳から外して、
「やってくれるよ、牧田~~。」
そして再びスマホを耳に、
「古家さん。追っ掛けるわよ。車のナンバーは、…………で、いいのね。黒のBMW。…運転手さん。どんな道でも良い、とにかく急いで成田。」
運転手、
「そうとなりゃ。あいよ。」