手を握って…。 vol.038 「な~るほどね~。そういう…事か…。」
「いや…、それが…でも、矢萩さんと…どう…???」
何故か和弘の料理を作っている手付きを、
後ろのガラスに映っている姿を見ながら夕美子。
若、
「小宮さん、ソフィアの中で一番仲のいい人が…美崎さんだから。だから自分が辞めた後の編集デスク…、誰か…って、美崎さんにも、編集長にも、話していたようだし…。当然、それが乾さんにも…。」
健之、
「な~るほどね~。そういう…事か…。」
心、
「えっ…???矢萩デスク、どうして…そういう事かって…???」
「いえね。私の大学の先輩にも編集者がいるんですよ。」
スプーンで一口、自分のメニューを食べながら健之。
「実は、その、僕の先輩が、その乾さんと昔馴染みって…事で…。乾さんが桜華に誘ってくれたって訳…。」
「ふ~~ん。そういう…経緯が…、あったって…訳か…。」
心。
「…ん…???ちょっと…。ちょっ…。ええええ…。いや…。うわっ。」
その心の声に洋造、
「ん~~。ふふふふ。」
心、いきなり口を塞いで、
「うそうそうそ。うわっ。え~~~っ。」
隣の健之、
「ん~~???どうしたんですか…雪さん…???」
若も、
「あれっ…???」
いきなり心、
「うわっ。やだ~~。んもう~~。」
そう言いながら隣の夕美子の右肩をペンと左手で叩いて。
夕美子、
「あた。」
いきなり拍子抜けに…。
心、そのまま、
「デスク~~。もう~やだ~~。」
今度は夕美子の右二の腕をツンツンと左人差し指って突っついて。
「いや…、何なのよ、あんたは~。んもぅ~。」
可笑しくてしようがない夕美子。
和弘、目をパチクリ。
心、夕美子の右耳に口を近づけて、ひそひそと、
「………。」
夕美子、
「ふん。そう…。私もさっきから矢萩さんの話で気付いた。」
心、
「う~~っわ。あるんだ~。こういう事って…。」
「…の…、ようですね~~。」
キョトンと夕美子。
和弘、
「ええええ。何ですか…。どういう事…???」
洋造、
「ん~~???けけけけ。」
「まぁ…、與門も知ってるみたいだけど…。」
その声に心、
「う~~っわ。じゃ。じゃ、じゃ。」
両手で口を塞いで心。小さな声で、
「うそみたい。」
隣で健之、
「まぁ~~。世の中、いろいろあるものですよね~~。」
にっこりと。洋造、
「へぃ。その通りで…。…で…、矢萩さん。…ちょいと、つかぬ事…お聞きしますが…。」
健之、
「えぇ。」




