手を握って…。 vol.034 「私と…従姉なんです。」
若、すこし、「しまった~~。」とも思いながら…。
「ん~~。でも…いつかは…分かっちゃうから…。」
健之、洋造と若の顔を見ながら、
「ん~~???」
洋造、
「くくくく。」
「実は…ですね~~。」
若。
健之、
「実は…???」
「ウチの編集長、蜷川瑞樹は…、私の…従姉なんです。」
その言葉に一瞬、食べたその動きを止める健之。
顔はそのままで目だけをキョロキョロと…。
そして食べ終わって、
「え…。ええええ。編集長と…、従姉妹…同士…???」
その時、ドアが開いて洋造、
「おんや。お出でなすった。」
「こんばんは~~。」
と、入ってきたのが心。そしてその後ろに夕美子。
和弘、
「いらっしゃいませ、昨日はどうも…。新條さん。」
「はい。ワコウちゃん。昨日はご馳走様~~。あれ…???」
夕美子、カウンターの若と健之を見て。
心、
「おやおや…。ソフィアのデスク様…、そして…若ちゃん…、いらっしゃってましたか~~。」
ふたりに、
「お疲れ様~~。」
やんわりとお辞儀をしただけで…。
若、
「おつかれさまで~す。お邪魔してました~。」
健之、
「おつかれさまです。大槻君から、相談を受けてね。」
「むふふふふ~~。だ~いじょうぶですよ~矢萩デスク~~。」
にんまりとしながら心。
そして自然に健之の左隣に心、心の隣に夕美子が落ち着く。
「ねね、おじちゃん。紹介して。コチラの新しい人。ワコウちゃんって聞いたけど…。」
心。
洋造、
「けけけけ。ワコウ~。この子がブリリアント最後のひとり、心だ。」
和弘、
「初めまして、洋造さんのお店で料理見習いすることになった、高梨和弘と申します。よろしくお願いします。」
「ねね、心さん。凄い美味しいよ、高梨さんの料理。」
若、にこにこ顔で。
「へぇ~~そうなんだ~。ウチのメンバーにも…好評だったもん。…あっ。ごめんなさい。」
そう言いながら和弘の顔に、
「初めまして。桜華のブリリアントで編集者してます、雪心と申します。みんなと同様に、よろしく。お願いします。」
「一言、付け加えるが、この心とこの前来た美紅って子が、唯一、ブリリアントでは三十路前だ。」
洋造。
飲み掛けたグラスの水をいきなり吹き出しそうになった心、
「ぶっ!!!」
夕美子、
「はぁ~~あ???」
それに釣られて若、
「くっ。」
健之、思わず顔を傾けて、
「……。」




