手を握って…。 vol.026 「はい、この人~~。」
「さてと。」
與門、
「こりゃ、言っても分かんないよね。…多分、誰も…知らないかな~~。」
バッグからスマホを取り出して検索して、
「はい、この人~~。」
和弘に、そして亜季に画像を見せる與門。
「んじゃ、私は…ほい、これ。」
同じように夕美子もスマホで検索して信玄に。
和弘、亜季、そして信玄、次から次へと、
「ジャン…ポール…ベルモンド…。」
洋造、額に皺を寄せて、腕組みしながら空を見る。
與門、夕美子揃って、
「誰かに…似てない…???」
そう言いながら洋造を見る。
亜季、そして信玄、
「…ん…???」
画像と洋造とを見合わせながら…。
「あ…れ…???」
亜季、いきなり、
「似てる!!!あ~あ~。名前…聞いた事ある~~。」
洋造、
「すげっ。亜季…、知ってんだ~~???昔のフランスの映画俳優だぞ。」
「いやいやいや。映画は観た事ないけど。名前なら、聞いた事ある。うんうんうん。」
信玄、
「全く…。分からない。」
「あんたが分かったら凄いよ、信玄。」
信玄の左二の腕を突く夕美子。
「あた。デスク~~。だから…痛い~~。」
與門、
「フランスの映画俳優。シリアスからアクション。そしてコメディまで、とにかくマルチな役者さん。おじちゃんの奥さんから、ここのお店の名前、あんた、ベルモンドに似てんだから、そのまま付けたら…。あんたも大ファンなんだから。…って、言われて付けた名前~~。」
「へぃへぃ。出来過ぎた姪で…。みんな言われちまったぃ。けけけけ。」
照れながら洋造。
和弘、
「へぇ~~。そうだったんだ~~。確かに、コメディっぽいよね、洋造さん。」
「くぅおら。おまえまで、そう言うな!!!」
そう言いながらにっこりと笑う洋造。
信玄、
「へぇ~~。そうなんだ~~。」
今度は自分のスマホで画像を見ながら。
「なんか…、画像見てても、マスター。そんな風に見えますね~。」
洋造、
「またまた。そんな…、信玄ちゃん。」
両手を何度もおにぎりを握るような仕草で…。
「いや…、信玄にそんなコメディにしなくとも…。」
変顔の夕美子。
「ふ~~ん。20世紀後半…フランスの代表的な俳優さんなんだ~~。凄いよね…。ふふ…。おじちゃん、似てる似てる。しかも…渋いもんね~~。」
亜季。
「亜紀ちゃん。何か御造りしましょうか~~。」
ニコニコ顔の洋造。
與門、夕美子、
「おぃ。」




