手を握って…。 vol.025 「ベルモンド。好きなお店なんです。」
「源治さんとおかみさんには…、頭…上がりませんよ。高校まで出してくれたんですから…。」
少し思い出して目を潤ませる和弘。
「まっ、その源治から今まで料理をみっちりと…しごかれたって訳だ。」
腕組みしながら洋造。
「えっ…???でも、そんなワコウちゃん…、どうして…東京…???」
亜季。
一同、
「うんうん。」
「そんな…源治…、今…、くも膜下で、病院だ。」
一同、
「え―――――――――っ!!!」
「源治のかみさん。由紀美って言うんだが、ワコウを頼むって、相談…受けててな。」
「な~るほど~~。それでか~~」
夕美子。
洋造、
「おや、夕美…、緊張…取れたか。ワコウ~~。恐ぇ~ぞ~~。この唯一の箱入り娘は~~。かかかか。」
夕美子、
「はぁ~~あ~~???どういう意味よ~~???」
「かかか。ほれほれ、恐ぇ~~。」
「はっはっはっはっ。」
笑いながら夕美子の背中を叩く與門。
そしてきっぱりと、
「ただ、恐ぇ~んだけど。こいつが、もう~とにかく、いい女だから、俺ぁ~嬉しいわ。…まっ。ワコウには…、手に負えねぇけどな…。かかかか。」
そんな洋造の話に、いきなり夕美子の左二の腕を突く與門、
「ふふ…、箱入り娘~~。」
夕美子、
「う・る・さ・い。」
「みなさん。よろしくお願いします。」
あらためて和弘。
「僕、初めてなんですよ。東京のこんな素敵なお店で、素敵なお客さんに恵まれての仕事って…。ベルモンド。好きなお店なんです。」
そこに信玄、
「ねね、デスク…。前々から気になってたんですけど…。なんで、名前が…ベルモンド…なんですか…???」
その信玄の質問に思わず與門、
「ぷっ。」
「ああああ。私もそれ…聞きたい。知らないもん。」
亜季。
「あれ…、亜季…。あんたも知らなかったっけ…???夕美子~~。教えてなかったね~あんた。」
またまた夕美子の二の腕を突く與門。
「えっ???…あっ、いや…、そんな…教えるほどの事でも…。」
「あっ。僕も知らないんだ…けど…。」
和弘。
洋造、目をパチクリさせて…、腕組みしながら、首を右左に傾げて…。
「な~に、首傾げてんのよ、おじちゃん。」
夕美子。




