手を握って…。 vol.231 優羅、少しモジモジしながら…。
店の準備をしながら洋造、
「どうでぃ、優羅ちゃん。店、慣れたかい。」
「えぇ。とっても素敵なお店。しかも、お店の裏が、洋造さんの自宅なんですね~~。大きくてびっくり。しかも、綺麗ですよねぇ~~。」
そんな優羅の話しに、大いに照れまくる洋造。
「まぁな。死んだカミさん。えらぃ、綺麗好きでな。」
ニコリとしながら。
そんな洋造に優羅、少しモジモジしながら…。
洋造、
「…ん…???どうしたぃ、なんだか…???」
優羅、黙ったままで…。
「何か…困り事でも…???」
優羅、何やら困ったような…、そして変顔で、
「あのぉ~~。はははは…。」
洋造、
「…ん~~???」
「実は…。」
優羅の話しを聞きながら洋造、
「ふん。ふんふん。ほぅ~。ふ~~ん。まっ、そうなるわな。」
優羅、
「…で。」
洋造、
「ふん。…で…???」
下を向きながらも目は大きく見開いて洋造の顔を見て…。
そんな優羅を見て洋造、
「はっ…???…えっ…???…へっ…???」
優羅、
「…だ・か・ら~~。」
唇を尖らせながら、眉間に皺を作って…。
そんな優羅を見て洋造、いきなり、
「かかかかかかか。」
そして、
「そうかぃ、そうかぃ。おぅ、俺はOKだ。な~んも、問題ない。優羅ちゃんが、そうしたいってんなら、そうすりゃいい。大歓迎だわ。ワコウも2階に住んでたから。」
優羅、急にはしゃぎだすように、
「ほんとうですか~~。」
飛び上がって喜んで…。
ただ洋造、
「は~~、いいんだが…。ちょいと…問題が…ある。」
いきなり困ったような顔をして洋造。
「も・ん・だ…い…???」
「あぁ。悪ぃが、その話、一度、煌に話して許しをもらってくれ。」
優羅、
「與…門…さんに…???」
「あぁ…。でないと、とんでもない事に、なり兼ねねえ。」
「とんでも…ない…こと…???」
実は、優羅には今、困っている事があった。住んでいるアパートである、
更新の時期だったのである。
現在優羅はファッションの勉強をしながらも、
渋谷区のスーパーマーケットでパート勤務である。数回の転職経験あり。
そこから国分寺のアパートへ帰宅する訳だが、
最近自分の部屋の上に引っ越してきた人物に不満を持っていた。
騒音問題である。まもなく契約が切れる。
大学時代から住み慣れたアパートではあるが、勤務地までの遠距離、
そして騒音問題で、生活にある種の不快を抱いていた。
そんな時に出会って、自分の願いが適ったのが、小坂洋造との出会いだった。
優羅、すぐさま與門に電話。
自分のデスクで優羅からの電話、
「はっ…???優羅ちゃん、おじちゃんの家に住みたい。」
その声を聞いた健之と真奈香、
「…ん…???」
與門、そのまま優羅の話しを聞きながら、
「うんうん。うんうんうん。ふ~~ん。」
そして少しの沈黙。
與門、目をキョロキョロ。そして康太の顔をチラリと見ながら。
そして椅子の背もたれにゆっくりと背中を付けて、そしてニッコリと。
「OK~優羅ちゃん、おじちゃんの家、いらっしゃ~い。私が許す。」




