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手を握って…。 vol.230 手を握って…しっかりと繋いで…。

世田谷にある神谷ビルの玄関に向かう男女の2人連れ。

セントラル・ムードのドアから中に。受付の女性からレディース部門のフロアに。


そして、

「チーフ、お連れしました。」


「は~い。ありがと。」

振り返る女性、

「友~~紀ちゃ~ん。待ってた~~。はは。お~めでとう~。」


由香里である。


「倫君も~。良かったね~~。」


友紀、そして倫洋共々、

「由香里さん。ありがとうございました。」


由香里、

「ううん。お礼なんて良いのよ。私の方こそ、お願いします。なんだもの~~。ささ、座って座って。…で、いつ頃オープン…???」



3年前にネイリストの資格を取得した友紀は、その後、更に目標を掲げて、

ネイルサロンを持つ事に決めたのだった。


夕美子たちがニューヨークに行くとなった時から夕美子から由香里に、

「私の可愛い妹を頼む。」と、言付かっていたのである。

友紀も何か自分でも、どうしようもなくなったら、與門か由香里に頼ってと、

言い残されていた。


自分の目標が定まったと同時に、まずは與門に相談して、話しは由香里へと…。

その結果、今後友紀がネイルサロンの開業が適った暁には、

麻布十番のショップに、新たに併設して、

友紀のネイルサロンを持つ事を計画したのだった。


やがて、友紀にとっては願ったり適ったりの環境下で、

見事ネイルサロン開業の認可がおり、計画通りに事業は進められ、

オープンまで数日というところまで来ていた。

そのお礼に倫洋と共に、世田谷のオフィスに、由香里を訪ねたのであった。



由香里、

「念願、適ったね。」


友紀、

「ありがとうございます。みんな、與門さんと由香里さんのお蔭です。」


「しっかし…。本当にやっちゃうんだから。若さって凄いよね~~。頑張った、頑張った。」

友紀を抱き締め、背中を叩く由香里。

「倫君だって、もう、どのくらい資格持ってんの???」


その由香里の声に、

「お蔭様で、5つです。」


「ある意味、倫君だって、引っ越し業、独立してもやって行けるんじゃない……???」


「と~~んでもないですよ~~。無理無理~~。」

「そんな事言って、実は狙ってたりして……。ふふ。」


「だめだめ。おだてると、その気になっちゃうから、倫は。」


そんな友紀の声に、

「そっか~~。…とにかく。ふたりとも、逞しいよね~~。夕美子の周りの人たちは、とにかく素敵な人たちばかり。だから、ビジネスも、手を握って繋いで行けるもんね~~。」

コーヒーを飲みながら由香里。


友紀、

「ほんと、そうですよね~~。」


「これからも、手を握ってしっかりと繋いで、頑張って行こう。友紀ちゃん。セントラル・ムードが、全面バックアップする。あれだけ素敵なネイルが出来るんだもん。ショップのスタッフなんて、感激してたもん。社長からもOK出たんだもん。頑張って~~。」


友紀、由香里に肩を叩かれ、そして握手。

倫洋とも握手をして、ふたりは部屋を後にする。


由香里、窓の外の緑を眺めて、

「これからまた、賑やかになるねぇ~~。ふふ。」



…季節は冬…。





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