手を握って…。 vol.228 「愛されてるよ、おまえらふたり。」
レストランでそのまま寛ぐジャン。
そんなジャンを後にレストランを出るブリスと和弘、
「…と、言う訳で…、ワコウ~~。そろそろ…だ~な…。」
「みたいですね~。」
「ある意味、みんな…何にも言わないけど…。楽しみにしてるんだ、アジアのベイビーを…。」
そのブリスの声に和弘、
「うっそ!!!」
「はっ…???おまえ、知らなかったの…???」
そんなブリスの声に右手を何度も横に振る和弘。
「おぃおぃ。そりゃないぜ、相棒~~。鈍すぎねぇか~~。かかかか。」
廊下を歩きながら和弘、
「まったく、気付かなかった~~。」
「まぁ…、そりゃ、初めてこっちきて、何から何まで初めてで、大変だったよ、おまえたちふたり。ユミコにしても、下積み、おまえだって、全くの未知数。それでも、シェフの覚えは良い。たったの3年弱でここまで力出せる料理人なんて珍しいよ。実に、トモカの目は優れている。うん。」
プライベートルームに入りながら、
「ユミコからも聞いてるんだろ。俺もトモカから聞いてるけど…。」
和弘、
「えぇ。昨日、夕美子から初めて聞かされました。生まれても、赤ちゃんは、全部面倒見てくれるって…。」
「それだけ楽しみだって事だよ。このニューヨークで、日本人同士の男女から子供が生まれるなんて…。」
和弘、
「……。」
「自分たちで育てたアメリカの…、ニューヨークの日本人。成功に導きたいんだよ。シェフにしても、ニーラにしても、ヒサコにしても…。愛されてるよ、おまえらふたり。」
そして和弘の肩をトンと叩いて部屋を出るブリス。
「え――――――っ!!!うっそ!!!…おじちゃん。」
與門の隣で亜季に真奈香、そして美紅。
與門、
「ほんと。」
洋造、
「けけけけけ。まぁな…。」
「…って、鼻の下、伸ばさない。良い歳なんだから…。」
と、言いながらもにこやかに與門。
「今日からお世話になります。九門優羅と申します。よろしくお願いします。」
真奈香に美紅、
「く…く…もん…ゆら…さん…???」
その時、ドアを開いて入ってきた矢萩夫婦、
「お待たせ~~。…って…えっ…???」
健之、若。
「あれ…???…洋造…さん…???」
そんな健之と若を見て洋造、またまた、
「けけけけけ。」
頭を掻きながら…。
健之、若、目をパチクリとさせて…、初めて見る女性に、
「はじ…め…まして…。」
そして洋造を見て、
「はい…???」
與門、
「今日からベルモンドに新人さん、誕生~~。」
優羅にっこりとして、
「九門優羅と申します。」
洋造、
「24歳だ。料理人、志望だとよ。」
「わわわわわわ。パパ。」
若。
健之、
「ママと…おんなじ…歳。」
「由香里から…頼まれたんだって~~。」
與門。




