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手を握って…。 vol.226 「今日辺り…。ワコウのボス、怒り出すかも…。」

和弘、

「はいはい。…でも、頼むから、無理だけは、勘弁。夕美子ひとりの体じゃないんだから。」


「はいはい。分かってま~~す。ほぃ、行ってらっしゃい。」


和弘、腕時計を見て、

「おっと。んじゃ行ってくる。」

椅子から離れて、夕美子の唇にキスをして。


夕美子、

「うん、行ってらっしゃい。」


和弘がドアノブに手を。


夕美子、コーヒーカップを口元に、

「あ~~。今日辺り…。ワコウのボス、怒り出すかも…。」


和弘、

「了~~解。」



バイクを担いで通りまで。そこからバイクで凡そ15分の位置。

ブロードウェイとセントラルパーク・ウエストに挟まれた位置に、

和弘が勤務しているレストラン、ジュンジョルジュの入っているホテルがある。

早朝より夜まで、交代制の勤務。


片や夕美子が勤務する女性誌の出版社、「HENRY」は、

ふたりが住んでいる場所から南に数キロ。

同じパークアベニュー、マディソンスクエアパーク沿いの、

ストリート「East 23 st」を過ぎた位置にある。


和弘の勤務地よりも、夕美子の勤務地の方が遠い位置である。

ジョギングが好きなふたりではあるが、勤務はふたり共にバイクを使っている。



そして…、厨房で忙しく準備をしている最中にチーフシェフのブリスから、

「ワコウ~。ボスがお呼びだ。」


その瞬間和弘、両肩を落として、

「来たか…。」


「ランチを一緒にしたいってさ…。」

「OK、ブリス。」


そして、

「あっ、ブリスも一緒でしょ。」


そんな和弘に、

「モチロン。じゃないと、おまえ、困るだろ。」


その言葉に和弘、

「サ~ンクス。」




3年前に、初めてニューヨークに到着して、

その後すぐさま由香里から案内されてヒサコ・マーラのオフィスに。

この時から既にふたりのこれからの生活するスタイルは決まっていた。

後々ふたりも聞かされたことではあったが、ジュンジョルジュのオーナー、ジャン・クロードと、

セントラル・ムードのヒサコ・マーラ、そして出版会社ヘンリーのオーナー、ニーラ・ヘンドリックス、

この3者も、セントラル・ムードの立ち上げから徐々に親睦を深める間柄になっていた。


そんな3者がふたりを歓迎してくれたのだった。

ふたりの生活する場所はパークアベニュー沿いの建物の一室。

ここはジャン・クロードがフランスから初めてニューヨークでシェフとしてスタートする時に使用していた一室である。


夕美子自体、ある程度の英語力はあるが、和弘にその力はなく、

ふたりにはプライベート以外は全て通訳者となるアンディ・カレンが日々伴っていた。

夕美子の3つ年上であり、既に2児の子供を持つ女性である。


もちろん和弘にしても、夕美子にしても、ニューヨークでは下積みではあるが…、

1年後辺りからは、徐々に頭角を現し始めていた。




「ユミコ~~。ランチ行くよ~。」

編集デスクのルーシー・アンダーソン。


「OK~~。」

笑顔で夕美子。


「ヘッヘ~。新しいとこ、教えたげる。」

「わお。うっれしい~~。」





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