手を握って…。 vol.219 由香里の声に静まる会場内。
やがて、ディナーファッションショーのナレーターを務めていた女性がアナウンスをして、今回のショーのディレクターを務めた由香里にチェンジする。
ひとりたりとも席を立たないゲストたちに向けて。
「みなさま。ありがとうございます。日頃ご愛顧頂いておりますみなさまに、また、セントラル・ムード初めての方々にも、深く御礼申し上げます。」
その由香里の声に静まる会場内。
「今回のファッション、ディナーショー。お気に召して頂け、スタッフ一同感謝申し上げます。そして、今回のファッションショーに、特別にご協力いただきました、ディナーのシェフ、高梨和弘シェフに、心より感謝申し上げます。皆様、絶大なる拍手を持って、お贈り下さいませ。」
その由香里の言葉に、会場内の一斉の拍手喝采。
そしてスポットライトがシェフの列を照らし出す。
鳴り止まない拍手、そして労いの声に、感謝の声。
その声を聞いた瞬間に夕美子、涙に濡れる。そしてそのまま與門に凭れる。
「與門…。」
與門、そんな夕美子を支えて、そして抱いて、
「うんうん。ワコウちゃん、頑張った、頑張った。」
そして、そんな夕美子を見ながら亜季、そして真奈香、美紅、
「えっ…???夕美子…???」
「…デスク…???」
「どしたの…???具合でも…。」
そんな美紅に若、涙流して、
「ははは。美紅さん…。亜季さん。真奈香さん…。」
美紅、
「へっ…???若…、なに…???」
真奈香、
「…まさか…???」
若、
「ワコウさん…。デスクの彼氏になったんですよ。デスクも…、ワコウさんの…彼女なんです。」
その若の声に、亜季も美紅も、
「え゛―――――――――っ!!!」
與門、そんんな亜季と美紅を見て、苦笑いをして、頷く。
まだ涙が止まらない夕美子。
亜季、
「う~~~っそ。いつの間に…。」
美紅、
「え―――――――っ。まったく…気付かなかった。は…あ…???」
與門、
「夕美…、夕美…。うん。大丈夫…???」
與門も瞼を濡らしながら、
「頑張ったもん、ワコウちゃん。…で、支えてたもん、ねぇ~。相棒~。」
與門と洋造、そして由香里と悠宇、そして和弘しか知らない、あれからの夕美子。
和弘からニューヨークの事を知らされたその日から、
夕美子は時間があればベルモンドにいた。
とにかく和弘の傍でしっかりと見守り、手伝っていたのだった。
当然の事ながら、その夕美子の姿を見て洋造。
その後に與門、その後に僅かな時間ながらも由香里と悠宇が、手伝ってもいた。
夕美子、ようやく與門から離れて、
「んん…。もう…大丈夫。うん。」
與門、
「OK~???」
夕美子、
「うん。」
その瞬間、いきなり、
「夕美子―――――――っ!!!」
「デスク―――――――っ!!!」
椅子から立ち上がり、夕美子の元に3人。そして一斉に夕美子を抱き抱える。
「わ――――――――っ。」
夕美子、
「えっ…???えっえっ…???」




