手を握って…。 vol.214 両手で流れる涙を拭いながら…。
両手で流れる涙を拭いながら、
そして今度は顔を両手で塞いで夕美子、和弘に、
「…ご…めん…。」
「新條…さん…。」
「バカ。顔、見ないで。」
そう言って、涙で濡れた右手で和弘の左頬を押さえて。
そして左手で自分の唇を押さえて、
「ん…。ん…。」
そして頭を傾げて、
「なんで…、止まらない。へへ…。」
和弘の左頬を押さえながらも…。
目を真っ赤にさせながら涙でしっかりと濡れた頬のままで夕美子、
そのまま左手を和弘の頭を抱く様に自分の顔に寄せて、
和弘の唇に自分の唇を重ねる。
数秒重なり続ける唇。そして静かに僅かに離れる唇。
夕美子、
「ワコウ…ちゃん…。」
優しくも戸惑ったような和弘の顔、ただ頷く。
夕美子、
「好き。」
その夕美子の声に従うように和弘、頷きながら、
「僕も…好きです。…新條さん。」
そんな和弘に、
「バカ。夕美子だぞ。」
そう言って、今度は和弘をがっしりと抱き締めて、
「ワコウ~~。頑張れ、頑張れ、あんたには、夕美子がいるんだから。うん。私もあんたがいないと、困る。だから、頑張れ、頑張れ。」
そう言いながら和弘の背中を両手でぺんぺんと叩いて、そして撫でて、
「私には、ホッとできるワコウがいないとダメなんだ~~。ははは。」
和弘、
「新…條…さん…。」
「バカ。今、言っただろ。」
「なんか…、言いにくいな…。ゆ…み…こ…さん。」
「うん。よろしい。ははは。」
そしてもう一度和弘の両頬を両手で押さえて和弘の唇に自分の唇を重ねる夕美子。
由香里、
「はい。みんな~~。ファッションショーまで一週間切ったよ~~。」
麻布セントラル・ムードのスタッフたち、
「はい。」
「茂木チーフ。社長からお電話です。」
スタッフの女性。
「あぁ。はい。ありがと。」
近くの電話に出る由香里、
「替わりました由香里です、社長。」
ヒサコ、
「由香里、お疲れ。例の件はコチラ、OK。全てまとまった。全面バックアップする。任せな。いつでも、何年掛かろうが任せな。」
その声に由香里、
「ブラボ―――――――ッ!!!!やった―――――――っ!!!!ありがとうございます社長。…でも、まだ、その事に関しては…オフレコで…。」
「わ~かってる~。うん。…で、どう、そっちの状況…???」
「えぇ~~。順調ですよ~~。そして、彼の料理も…申し分なし。ですって~~。」
「うんうん。じゃ、期待してる。3日後、そっちで…。」
「はい。お待ちしております。」
健之、仕事をしながら夕美子の顔を見て、
「新條さん…。何かありました…???最近、もの凄い…、前よりバイタリティ…。」
そんな健之に夕美子、
「へっ…???いやいや…、別に…。うん。」
ニッコリと…。
與門、そんなふたりを見ながら、
「ふふふ…。」




